鹿島に新加入のレオ・シルバ。J1連覇とACL初優勝に貢献することを期待されている(写真:Getty Images)
鹿島に新加入のレオ・シルバ。J1連覇とACL初優勝に貢献することを期待されている(写真:Getty Images)

 今シーズンのJリーグは、例年通りの展開にはならないのではないか。そんな妄想が頭のなかでドンドンふくらんでいる。

 例年どおりとは、AFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)に出場するクラブの「憂鬱」だ。過去5年を振り返っても、ACL組の優勝は4年前の広島だけ。昨シーズンも、広島、G大阪、浦和、FC東京が、いずれもJ1制覇を逃している。

 二兎を追う者、一兎をも得ず――といったところか。今シーズンのACL組は鹿島、浦和、川崎F、G大阪。近年の例にならえば、この4クラブ以外からJ1王者を探せばいいわけだが、諸々の変革(1シーズン制の復活や優勝賞金の増額など)に伴い、潮目が変わるかもしれない。そこで、上位4クラブの顔ぶれを占ってみた。

1位:鹿島
2位:浦和
3位:広島
4位:FC東京

 例年とは違い、ACL組の鹿島と浦和が覇権を争うのではないか。何より、他クラブを凌駕する戦力面の充実が大きい。二兎を追えるだけの十分な駒がそろっている点で、過去のACL組とは違って見える。

 そもそも浦和は昨シーズンもACLに出場しながら、最後まで優勝争いを演じていた。年間勝点にいたっては堂々の1位である。1シーズン制ならば、文句なしの優勝だったわけだ。ただでさえ国内屈指の選手層を誇る上に、今オフもFWラファエル・シルバら即戦力候補を迎え入れ、戦力の上積みに余念がなかった。

 もっとも、伸びシロの面で上を行くのは鹿島の方か。キーパーソンの柴崎岳を失ったが、J1随一のボランチとも言うべきレオ・シルバの加入は、柴崎の穴を補って余りある。さらにFWペドロ・ジュニオール、Kリーグ(韓国)で3年連続のベスト11に選ばれたGKクォン・スンテを獲得し、センターラインを強化。手持ちの駒をうまく回すターンオーバーも可能な戦力を整えた。

 2強の牙城を崩すとすれば、広島だろうか。森保体制下の5シーズンで、実に三度のリーグ制覇という実績と安定感は図抜けたものだ。元日本代表のFW工藤壮人が加わり、毎年のように「当たり」を引く外国人選手も、前評判は上々。余人をもって代え難い司令塔の青山敏弘がフル稼働すれば、国内一本に絞れる環境を追い風にして、タイトル争いに加わってくるのではないか。

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