一方の筒香。『プレミア12』では1次ラウンド5試合で5番、決勝ラウンド以降の準々決勝、準決勝、3位決定戦の3試合は4番に座り、打率.385(26打数10安打)の好成績を残した。期待されたアーチはなかったが、打席内での風格、存在感は4番然としたものだった。そして昨季はシーズン44本塁打&110打点で2冠を獲得。さらに昨年末の強化試合でも、大谷の陰には隠れたが、打率.308(13打数4安打)としっかり結果を残した。

 ここまで来ると「4番・筒香」に“すべきだ”とも思うが、その筒香も『プレミア12』では4番を務めた準々決勝・プエルトリコ戦でこそ5打数3安打1打点と勝利に貢献したが、敗れた準決勝・韓国戦では第1打席に四球を選んだ後は4打数無安打に終わった。侍ジャパンの4番は、まだ3試合のみという不安もある。だが、3試合のみだからこそ「可能性を秘めている」と言える。大谷不在の今、打席内での「期待感」は他の誰よりも大きいことは、昨年末の強化試合で人一倍大きかった歓声を聞いても明らかだった。そしてその「期待感」は、4番の資質として欠かせないものである。

 中田が「4番以外」の方が力を発揮するというのは『プレミア12』で証明されたはずだ。さらに春季キャンプで左手首痛を訴えて調整の遅れが懸念されている。短期決戦において“勢い”は非常に大事。その流れを生む一つの方法が、「4番・筒香」にある。この若き25歳のスラッガーには、その力が備わっているはずだ。