まだ札幌でのW杯優勝がない葛西、いきなり表彰台の真ん中は難しくても、2月末に開幕する世界選手権(フィンランド・ラハティ)、そして日本のエースとして金メダルを目指す五輪が待つ来シーズンに向けて、そろそろお得意の自画自賛ジャンプをビシッと決めて欲しいところだ。

 ソチ五輪の際は、長い低迷期からの復活を見事に五輪シーズンに合わせた葛西だが、きっかけはその前のシーズンにつかんでいた。総合順位こそ24位だったが、シーズン終盤3月以降のW杯では出場した6戦のうち3戦でシングル順位に入り、得意のフライングヒルで行われるシーズンファイナルの2戦はいずれも4位に食い込んだ。いい形でシーズンを終えて迎えた五輪シーズンは、「W杯で表彰台争いを経験し、優勝してからソチに行く」というストーリーを描くと、W杯3季ぶりの表彰台に上がって第一歩をクリア。41歳にしてまさかの10季ぶりの優勝を果たすと、そのままの勢いで五輪でも銀メダルを獲得している。
 
 “レジェンド”の称号が生まれたジャンプ人気の高い欧州では、どこに行っても自国選手に負けない大声援を受けるが、その人気は40歳を超えて世界トップに返り咲いたことはもちろん、V字飛行への移行に始まって度重なるルール変更、用具の進歩などにも対応し、しぶとく生き延びてきた実績への大きなリスペクトがあるから。

 そんな葛西であれば、久々に向かい合う難題も攻略できるはず。スキージャンプ史上最も場数を踏んできたレジェンドの巻き返しに期待したい。(文・小林幸帆)