鶏には美しい羽をもつもの、闘争心の強いもの、人なつこいものなど、個性の異なるさまざまな品種がある。毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』で、静岡県の常葉大学「ニワトリ研究会」のメンバーに、飼育している鶏の魅力を語ってもらった。

ロック歌手のような「髪形」がイケてるポーリッシュ(メス)(撮影/倉田貴志)
ロック歌手のような「髪形」がイケてるポーリッシュ(メス)(撮影/倉田貴志)
赤茶と深緑のコントラストが華やかなモダンゲーム(オス)(撮影/倉田貴志)
赤茶と深緑のコントラストが華やかなモダンゲーム(オス)(撮影/倉田貴志)
レースのような模様が美しいセブライト(オス)。とさかが肉厚でプルプル。「もみごたえ」がある(林さん評)(撮影/倉田貴志)
レースのような模様が美しいセブライト(オス)。とさかが肉厚でプルプル。「もみごたえ」がある(林さん評)(撮影/倉田貴志)

*  *  *

 世界で飼育される家畜のうち、もっとも数が多いのは鶏をはじめとする鳥類だ。その数はなんと推計約241億羽(2012年、FAO[国連食糧農業機関])。同じ年の世界人口が約70億人だから、人間の数の3倍以上。そのほとんどは卵や肉を生産するために飼われている。

 食肉の供給量でみると、世界で最も食べられているのは豚肉だが、ここ10年ほどの間に鶏肉の人気が急上昇し、数年のうちに豚を追い越すとみられている。鶏肉は、牛や豚よりカロリーが低めなのでダイエット中の人にも好まれるうえ、同じ量の肉を得るために必要なえさが、牛や豚より少なくてすむ。宗教上、食べることを禁じられることもまずない。そんな理由から、鶏は食肉としてますます注目されている。食用以外にも、インフルエンザのワクチンは鶏の卵を利用して作られるなど、人類に大きな貢献をしてくれている。

 ほとんどの鶏は、肉や卵用に「改良」された品種。でも、自然が創った尊い命であることに変わりはない。その命を人類に捧げてくれているのに、私たちは鶏のことを、スーパーでパックに入れて売られている食肉、卵としてしか見ていないのではないか?

 そんな反省を胸に、鶏と一対一のつきあいをしている常葉大学「ニワトリ研究会」のメンバーを訪ね、鶏とはどんな動物なのか、日ごろ肌で感じていることを聞かせてもらった。

■羽も個性も色トリドリ

 ニワトリ研究会は、「日本鶏」を保存する目的で、2011年に設立された。日本鶏とは、長い年月を経て国内で生み出されてきた品種をいう。現在17種が天然記念物に指定され、そのうち4種は同研究会でも飼育している。

著者 開く閉じる
AERA dot.編集部
AERA dot.編集部

1 2