「スーパーボウルでライブを依頼されるほど名誉なことはない。スタジアムの観客とテレビ視聴者数百万人を感動させたい」

 05年に出演オファーを受けたマッカートニーがそんな声明を発表したのは有名な話。実際にこの枠でライブを行うのはミュージシャンにとってもステイタスであり、若い視聴者をテレビ中継に惹きつける一因となっている。

 今年はレディ・ガガがコンサートを行うが、双子を妊娠したと発表したばかりのビヨンセが飛び入り登場するかもしれないという噂も。そんなミステリーもまたゲーム開始後まで話題を呼びそうだ。

 最後になるが、今年のゲームの見どころにも触れておきたい。注目はAFC代表のペイトリオッツが、02年以降の最多記録を更新する5度目の優勝を果たすかどうか。そして、チームの鍵を握るクオーターバック(QB)トム・ブレイディがリーグ史上最多の4度目のMVPを獲得するか。

 これまで栄光の道を歩んできたブレイディだが、過去2年は「デフレートゲート」という疑惑の渦中に置かれてきた。15年のプレーオフ中、チーム関係者が注射器を使って意図的にボールの空気圧を下げていた事件が発覚。事態を把握していたと疑われたブレイディが、グレーな立場にもかかわらず、今季開幕から4試合の出場停止処分を受けたのだった。 屈辱的な処分が開けて以降、ブレイディは28タッチダウンパス、2インターセプトと絶好調。プレーオフでも2試合を通じてパスで671ヤードを稼ぎ、5タッチダウンと優れたプレーを続けている。このままスーパーボウルも制すれば、絵に描いたようなリベンジのストーリーが完遂することになる。

 ファルコンズのQBマット・ライアンも今季はMVP候補となるシーズンを過ごしており、AFC王者にとっても楽なゲームにはなるまい。逆に言えば、この難敵を倒せばペイトリオッツとブレイディにとって大きな勲章になる。それらの背景まで考えても、17年のスーパーボウルが後世まで語り継がれるイベントになる可能性は小さくなさそうだ。(文・杉浦大介)