WBC日本代表メンバーの選考で注目される小久保監督(写真:Getty Images)
WBC日本代表メンバーの選考で注目される小久保監督(写真:Getty Images)

 3月に開催される第3回WBCへ向けた侍ジャパンの追加メンバーが1月24日に発表された。予定では28人全員を発表するところが、直前に辞退者が出たために小久保裕紀監督から「残り1名については決定次第発表」、「野手の予定」と説明がされた。

 辞退したのは中島卓也(日本ハム)。コンディション不良によって、球団からは春季キャンプの2軍スタートも発表されていた。そして代役の第一候補は、代表経験もある今宮健太(ソフトバンク)だったが、その今宮も昨年10月末に右肘関節内の遊離体摘出(クリーニング)手術を受けて現在はリハビリ過程にあり、球団側から辞退した旨が明らかにされた。

最後の1名、“ラストサムライ”はだれか。小久保監督が求めるタレントは、内野のバックアップ。すでに捕手が3人、外野手には6人がリスト入りした一方、内野陣は一塁に中田翔(日本ハム)、内川聖一(ソフトバンク)、二塁に山田哲人(ヤクルト)、菊池涼介(広島)の2名体制が敷けているが、遊撃と三塁は、坂本勇人巨人)と松田宣浩(ソフトバンク)のみ。三塁に関しては、小久保監督が「松田しか選んでいないので松田でいきます」とも語っており、有事の際には菊池が入ることも想定。重要度でいけば、やはり遊撃手となり、走塁面でも能力を発揮できるタレントが理想的だ。

以上のことから最終候補に挙がるのは、昨シーズン全試合にフルイニング出場してリーグ優勝に大きく貢献した田中広輔(広島)、主将としてチームを引っ張りベストナインにも選ばれた鈴木大地(ロッテ)、さらには第1回、第2回WBCの世界一連覇に貢献した川崎宗則(カブス)になる。いずれにしても“ラストサムライ”に対して、図らずも注目が集まっただけに、それに伴って期待も高まっている。

 過去、第1回大会では代表を辞退した井口資仁(当時ホワイトソックス)に代わって追加選出された宮本慎也(当時ヤクルト)が3試合に出場。準決勝の韓国戦では代打でレフト前ヒットを放ち、決勝のキューバ戦にも途中出場するなど3打数2安打2打点と活躍。第2回大会では川崎(当時ソフトバンク)が計5試合に出場。ベンチからチームを盛り上げるとともに、準決勝のアメリカ戦では「9番・三塁」で先発出場して4打数2安打1打点で2得点1盗塁の活躍を見せるなど、計7打数3安打1打点と結果を残して連覇に貢献した。

 さて、準決勝で敗れた前回大会のリベンジを図る今大会はどうか。試合の流れは一つのミスでも変わるが、スーパーサブの働きでも大きく変えることができる。競技は違うが、サッカーの1990年ワールドカップ・イタリア大会では、それまで世界的には無名だったサルヴァトーレ・スキラッチが大会開幕後にスタメンを奪取して計6得点を挙げて得点王に輝いた。スキラッチの如く“救世主”となれるか。ラストサムライが小久保ジャパンの窮地を救う働きをできれば、世界一奪還の目標にも近づくことができるはずだ。