フェリシモ猫部の部長を務める松本さん。いずれも発売されたばかりの「猫がま口ポーチ」、猫に踏まれる心地よさを味わえる「ふみふみ肉球コットン」と共に
フェリシモ猫部の部長を務める松本さん。いずれも発売されたばかりの「猫がま口ポーチ」、猫に踏まれる心地よさを味わえる「ふみふみ肉球コットン」と共に
大人気商品の「にゃんそうこう」(右)とツンとした表情がかわいらしい「ミニ和風ニャシュマロ」
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猫耳の角度にまで気を配った「なりきりにゃんこ猫耳もふもふヘアターバン<パート2>」
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新入部員のアイデアから生まれ、ユーザーから猫写真の協力を得て完成した「そこにいたの!?ノートで遊ぶ猫ふせん」
新入部員のアイデアから生まれ、ユーザーから猫写真の協力を得て完成した「そこにいたの!?ノートで遊ぶ猫ふせん」
2016年10月には、猫だらけのムック本「フェリシモ猫部 vol.1」も発売
2016年10月には、猫だらけのムック本「フェリシモ猫部 vol.1」も発売

 2016年12月某日、神戸市にある通信販売大手、フェリシモの本社。通された部屋の机には、をモチーフにしたグッズの数々が並べられていた。ニャンともかわいらしい猫の絵が描かれたばんそうこうに、猫耳が付いたヘアターバン、猫サイズの布団には、既に猫のぬいぐるみまで入っていた。

「使いやすさなどの視点に加え、“猫らしさ”や“猫格”にも重点を置いて開発しています」

 こう語るのは、同社社員による“部活動”、「フェリシモ猫部」の部長を務める松本竜平さんだ。紺色のシャツの襟元にプリントされた猫からは、ひそやかな猫愛が伝わってくる。

 猫部は2010年9月、松本さんら猫好きの社員が集まり結成。創部のきっかけは、同社が毎週水曜の午前中を、社員が好きなこと、興味のあることに取り組む部活動の時間としたことだった。そこには、ファッションやインテリア、生活雑貨といった幅広い商品を横断的に扱っている会社だけに、部活動から事業化できるものが生まれればという狙いもあった。

 猫部が活動目標として掲げたのは、「猫の殺処分ゼロ」だ。この問題に関心があるメンバー数人から提案があった。同社の通販で、買い物で得たポイントを動物愛護団体への支援に使うユーザーは多く、「お客さまも自分たちと同じことを考えている」という思いもあった。

 かくして、売り上げの一部を愛護団体への支援にあてる猫グッズの開発や、愛護団体と共催する猫の譲渡会、猫を愛する人たちをつなぐネットワークづくりに取り組むこととなったのである。現在のメンバーは約10人だ。

 猫部の活動は、部活動から事業を起こすモデルケースと言えるだろう。2010年に猫のしっぽが付いたポーチとストラップを発売してから、猫好きの心に響く、数々のヒット商品を世に出してきた。15年からは、猫部グループという社内組織に昇格した。もちろん、グループリーダーは松本さんだ。

 現在、ちまたに巻き起こる猫ブームを先取りするかのように、猫にクローズアップした活動を続けてきた猫部。フェイスブックページの「いいね!」の数は6万人を超え、ツイッターのフォロワーは4万人以上に上る。実はこれらの猫を愛する人たちの一大コミュニティーであるSNSが、猫部の商品開発を支えているのだ。

 商品の企画や開発は、基本的に部活動で行うが、SNSを利用してユーザーの意見を募ることも多い。部活動で会議中にグッズのアイデアやデザインを幾つかツイートすると、間をおかずにユーザーからの反応が返ってくる。それらを生かし、半年ほどで商品化している。

 SNSをきっかけに生まれた商品もある。14年10月に発売し、これまでに8万セット以上を販売した「にゃんそうこう」(月1セット税抜560円)だ。猫に引っかかれた傷をも癒やせる愛らしいばんそうこうなのだが、きっかけは、漫画家、山野りんりんさんから猫部のツイッターアカウントに寄せられた「このようなばんそうこうを考えてみたのですが、いかがでしょうか」というリプライだった。

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