ソフトバンクに入団した創価大・田中正義投手(c)朝日新聞社
ソフトバンクに入団した創価大・田中正義投手(c)朝日新聞社

 スター選手の登竜門であり、一生に一度しか受賞できない最優秀新人賞のタイトル。昨季はセ・リーグが高山俊(阪神)、パ・リーグは高梨裕稔(日本ハム)が獲得したが、今季は果たして誰が選ばれるのか。候補者乱立のパ・リーグを予想したい。

 昨秋のドラフト会議で計5球団が1位入札した田中正義(創価大→ソフトバンク)、そしてその外れ1位で同じく5球団が指名した佐々木千隼(桜美林大→ロッテ)の両右腕が、パ・リーグの新人王レースでも主役になるだろう。

 投手としてのスケールの大きさを考えるならば、田中がやはり群を抜いている。最速156キロのストレートは重く、伸びる。問題は昨年痛めた右肩の状態だが、年明けからの調整ぶりを見る限りは心配なさそう。まずはチーム内の競争を勝ち抜くこと。12球団一の先発ローテに割って入り、その役割を1年間守ることができれば、打線の援護を背に2ケタ勝利は固いだろう。実力は間違いなくプロ一線級で、日本球界を席巻できる可能性も秘めている。“ケガなく”が、田中の新人王への最大のテーマになる。

 その田中の対抗馬となる佐々木は、春季キャンプからの調整で何事もなければ開幕からの先発ローテーション入りが濃厚だ。昨年の調子、状態は新人随一で、その勢いをプロの舞台に持ち込むことができれば勝ち星は付いてくる。まずは各打者との初対戦が続く最初の1カ月でどこまで白星を稼げるか。自らの実力を見せ付けてスタートダッシュを決めることが新人王への近道になる。

 第3の候補として挙がるのが、山岡泰輔(東京ガス→オリックス)だ。年齢的には田中、佐々木よりも一つ下だが、必殺のスライダーを武器に社会人野球で腕を磨いた。ただ、昨年のプロ球団との練習試合で打ち込まれた場面もあるなど、果たして「1年目から通用するのか」という疑問も残る。その意味でも春季キャンプからの調整、そして佐々木同様に最初の1カ月のパフォーマンスが大きな鍵を握る。

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