一方の吉川は、攻守にスピード感あふれる大学ナンバーワン内野手。50メートル5秒7の俊足と華麗な守備はすでに1軍レベルで、柔らかいバッティングも磨き甲斐がある。高橋由伸監督は新たな正二塁手として使いながら育てる算段。昨季の高山同様に、開幕からレギュラーに定着することが第一条件。それをクリアした上で、新人王候補の投手陣たちが成績を伸ばせなければ、一気に本命に躍り出ることになる。

 その他の候補としては、高卒1年目にはなるが高校ビッグ3の一角、ドラフト1位入団の寺島成輝(履正社高→ヤクルト)も可能性がある。すでに新人合同自主トレで抜群のスタミナを披露し、真中満監督も春季キャンプでの1軍スタートを示唆している。また、2位入団の星知弥(明治大→ヤクルト)も面白い存在。同じく投手陣では、小野泰己(富士大→阪神)、濱口遥大(神奈川大→DeNA)、床田寛樹(中部学院大→広島)といった大学・社会人出身者たち、野手陣ではセカンドのレギュラーを狙う俊足堅守の京田陽太(日本大→中日)、大学日本代表の4番・大山悠輔(白鴎大→阪神)らが虎視眈々と新人王を狙う。

 さらにプロ2年目以降の選手に目を向けると、投手陣では原健人(DeNA)、横山雄哉(阪神)、塹江敦哉(広島)、桜井俊貴(巨人)、望月惇志(阪神)、野手陣では近藤弘基(中日)、坂本誠志郎(阪神)、岡本和真(巨人)、廣岡大志(ヤクルト)らが新人王の有資格者(支配下登録5年以内で、投手30イニング以内、野手60打席以内)に当たる。特に望月は伸び盛りで、高卒2年目での先発ローテーション入りも十分に狙える位置にいる。開幕からブレイクできれば、2年連続で阪神球団からの新人王誕生も期待できるだろう。