しかし…例え野手、ブルペンが頑張っても、先発投手陣の力不足は否めない。新加入のボルケスにしても、昨季は防御率5.37と低迷した投手。現代のメジャーではブルペンがより重要視されるとはいえ、チェン・ウェイン、ボルケス、アダム・コンリー、トム・コーラー、ジェフ・ロックあたりが先発ローテーションを構成するようでは、優勝争いに食い込むのは簡単ではないだろう。

 「ESPN.com」が1月9日に発表した今季最初のパワーランキングでも、マーリンズは17位。昨季の地区王者ナショナルズ(同ランキングで4位)、一昨年にワールドシリーズに進んだメッツ(5位)と比べると戦力的に厳しい。

 ここで改めて考えても、昨季末、右腕ホセ・フェルナンデスを死亡事故で失ったことは痛恨だった。トレードの駒に使えそうな若手の存在も聞こえてこないだけに、エース級の代役を見つけるのは至難の業。あと1人の確固たる大黒柱がいれば少なくともプレーオフ争いは十分に可能だっただけに、マーリンズにとってやはりあの悲劇の影響は計り知れない。

 こうして見ていくと、昨季までと同様、2017年も夏場くらいにはマーリンズは厳しい状況に陥っても不思議はないように思える。低迷チームの控え外野手というのはモチベーション的に厳しいもの。イチローにとっても目標を見出すのが難しいシーズンになってしまうかもしれない。

 それを許さないために、粒ぞろいのブルペンを中心にマーリンズは予想以上に奮闘できるか。あるいはシーズン中にでも効果的な補強策を展開できるか。他力本願の面も強い“イチローの最後のやり残し”の成就のためにも、マーリンズの頑張りに期待したいところだ。(文・杉浦大介)