華のある演技で進化を続ける本田真凛。(写真:Getty Images)
華のある演技で進化を続ける本田真凛。(写真:Getty Images)

 女子シングルはいま、かつてないハイレベルな銀河系大戦を繰り広げている。女子の大台である総合200点を大幅に超える、210点から220点台の選手が、昨季世界選手権では5人となり、今季ISUグランプリファイナルではさらにもう1人が210点台に乗せた。ソチ五輪で210点以上をマークした3選手はこの2戦に出場しておらず、先頭集団全体のアップグレードを感じさせた。

 上位陣が限られている男子とは違い、女子が多数の混戦になっている理由は、ジャンプの回転数が同じであり、その加点にも差が生じにくいところにある。3アクセル(3回転半)ジャンパーを除き、皆が3回転ジャンプをショートとフリーで計10本構成する。加点も、4回転の満点は3点だが3回転は2.1点で、女子の場合は満点が取りづらく、高くても1.5点前後で横並びになる。

 微に入り細に入り得点を上げる工夫を施し、己に磨きをかけて演技構成点を高め、“失敗をしない”。来年2月の平昌五輪に向け、女子上位陣の極限の争いに拍車がかかっている。日本女子は、世界に対し今後どのような戦いを見せるだろうか。200点クラスのトップランナー達の今季前半を振り返る。

 全日本3連覇の宮原知子(18)は、ロシアの世界女王エフゲニア・メドベージェワ(17)の世界記録へのスパートに離されず追走している。メドベージェワの総合得点「227.66」に次ぎ今季競技者中2位、史上4位の自己ベスト「218.33」を誇るミス・パーフェクト。あらゆる技術の精度は、演技の一瞬一瞬を流麗に魅せる。

 全日本2年連続2位の樋口新葉(16)は、怪我に苦しむシーズンが続くなか、持ち前の覇気と疾駆する滑りで異彩を放ち、表現面の成長も見せている。高い加点を得られる樋口のビッグジャンプが決まれば、210点台の先頭集団に加わることも可能だ。

 全日本3位三原舞依(17)も、樋口と共に200点を目前にしている。昨季の関節炎での休養を経た今季、スケートへの情熱で光り輝いている。基礎となる滑りを評価される本格派。当の本人からは口を開けば謙遜しか出て来ないが、そのスケーティングは世界中の目を奪っている。今後の日本女子を担う逸材が開花した。

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