高校2年生の一昨季、日々の研鑽は結実した。宇野の3アクセルと4回転は同時に花開いた。一旦は諦めかけた3アクセルだが、4トゥループが先に飛べるようになり、半回転少ない3アクセルも出来るようになったのだという。昨季は史上初の4フリップジャンパーになり、わずか2シーズンのうちに、3アクセル3本と4回転5本の最高レベルのジャンプで演目を武装した。

 3アクセルに苦戦していた選手が、突如として4トゥループと共に飛びこなせるようになり、4フリップ初成功者としてギネスブックに名を刻む。優れたパフォーマーは優れたジャンパーになり、スポーツ史に残る進化を遂げ、男子シングルの中枢へワープした。

 ハイパー4回転時代の中心人物のひとりとなった今季は、先頭を窺う位置にまで上り詰めている。先の全日本では、不安定なジャンプも全て持ちこたえ、死力を尽くして初のタイトルを掴んだ。

 宇野は、来年2月の平昌五輪を前に白熱する競争下にあって、「いまを楽しむ」と語る。宇野を奇跡に導いた、折れない心。そのイメージを持って、この先の宇野の歩みを共にしてほしい。(文=Pigeon Post ピジョンポスト 島津愛子)