阪神入りが決まった柳瀬も、甲子園のある兵庫・西宮市生まれと地元からの再出発。中継ぎとして07、13年とシーズン44試合に登板しており、13年は4勝0敗11ホールド1セーブ、防御率1.52の好成績を残した。現在33歳だが、まだまだやれるはずだ。年齢的には、26歳の猪本に伸びしろがある。これまでもウエスタン・リーグでは常に打撃3部門の上位に顔を出してきただけに、新天地・ロッテでの出世も大いに期待できる。

 その他、戦力外組ではヤクルトの田中浩康がDeNAへ、楽天の榎本葵がヤクルトへ、阪神の柴田講平がロッテへ移籍。楽天の岩崎達郎は中日の育成選手として契約を結ぶことが決まった。そしてNPBではなく独立リーグから再出発を図る選手たちもおり、巨人の金伏ウーゴ、ソフトバンクの金子将太がともにBCリーグ・栃木、阪神の一二三慎太がBCリーグ・石川への入団を決めた。

 注目は東海大相模高時代にエースとして甲子園準V投手にもなった一二三だ。10年のドラフト2位入団も、右肩痛によってプロ1年目の11年11月に外野手に転向。身体能力と打撃センスの高さに大きな可能性を見せていたが、結局は2軍通算230試合で打率.210、10本塁打と伸び悩み、1軍出場のないまま戦力外通告を受けた。だが、まだ24歳。可能性は残っているはずだ。

 ここに挙げた選手たちの中で、何人が新たな場所で自分の居場所を見つけることができるだろうか。ひとつ言えることは、ユニフォームを“脱ぐ”ではなく、“着替える”ことができたということ。これまでとは違った気持ちで過ごしたオフを経て、得ることができたチャンスを自らの手で掴み取ってもらいたい。