過去の例を振り返っても、日本代表はオフ明けの2、3月に行われる試合で比較的出来がよくない。現実的に考えて、国内組の選手がUAE戦にトップパフォーマンスで臨めるとは考えにくいのだ。そこで重要になるのが、ヨーロッパでプレーする海外組の存在。後半戦のスタートとなるUAE戦をいかに乗り切るかは、海外組の選手がカギを握っている。海外組が日本代表の主力を担っていることはいまさら言うまでもないが、UAE戦に関しては、より一層海外組への依存度が高まるはずだ。

 ヨーロッパのサッカーシーズンにおける3月と言えば、すでに後半戦もなかば。シーズンが始まって間もないJリーグと比べれば、肉体的なコンディションのよさは比べものにならない。加えて、ヨーロッパであれば、中東とは移動時間も短くて済み、時差も2時間程度しかない。UEA戦は、まさに海外組の出番なのだ。極論すれば、コンディションが上がっていない国内組をわざわざ遠くから連れていくくらいなら、すべて海外組で臨んだほうがいいくらいである(もちろん、現実的にそんなことは不可能なのだが)。

 だからこそ、海外組には所属クラブでポジションを勝ち取ってもらわなければならない。このところ、海外組の多くが所属クラブで出場機会を失い、調子を落としたことは、少なからず日本代表にも悪影響を及ぼしている。日本代表が最終予選の前半戦で苦戦を強いられた一因と言ってもいいだろう。

 海外組が置かれた状況も最悪の時期に比べれば少しは改善され、各選手が試合出場の機会をつかみ始めてはいる。しかし、まだまだ十分とは言い難い。試合勘を含めたゲームコンディションが整っていない選手が多いことは、勝負のUAE戦に向けて不安材料となりかねない。

 これからの2カ月半ほどの間に、海外組がどれだけ所属クラブで出場機会を増やし、ゲームコンディションを高いレベルで維持できるか。最終予選の行方を占ううえで、注視しておきたいポイントである。(文・浅田真樹)