その“三強”が組み込まれた3ブロックに比べればDブロックは“群雄割拠”と言える。いきなり初戦でぶつかる旭川実(北海道)と米子北(鳥取)、組織的な堅守速攻を誇る尚志(福島)、県大会の準決勝で大津、決勝で本国府と全国でも上位進出が可能な難敵を破って参戦するルーテル学院(熊本)などが勢いに乗れば一気に頂点に上り詰めることも夢ではない。選手権はそうした躍進が可能な舞台でもあるのだ。

 優勝争いに注目が集まる選手権だが、“東京五輪世代”ということもあり、ここからJリーグや大学で活躍し、日本の将来を担う選手たちが羽ばたいて行く場としても期待される。Jユースにタレントが集まる傾向が年々高まっているとはいえ、急激に成長する高校年代の選手たちは無限の可能性を秘めている。選手権は彼らの能力を大きく伸ばす場でもあるのだ。

 上記にあげたJ内定の選手はもちろん、鹿児島城西のDF生駒仁や山梨学院のFW加藤拓己など2年生にも楽しみなタレントは多い。また選手権には必ず“ラッキーボーイ”が誕生する。現時点では全国的に名前が知られていなくても、大会で一躍注目を集める選手。そうした選手の活躍は是非ともファン自身が目撃していってほしい。(文・河治良幸)