■12月31日 島津アリーナ京都
WBA世界フライ級タイトルマッチ
王者 井岡一翔(井岡)対暫定王者 スタンプ・キャットニワット(タイ)

 27歳にしてすでに3階級を制してきた井岡には、井上、内山のようなワールドワイドな知名度があるわけではない。まだ対戦相手の質の面などでアピール不足。ただ、リング上での距離の掴み方に抜群のうまさを感じさせる井岡が、日本屈指の実力派あることは間違いない。

 『リングマガジン』、『ESPN.com』の階級ランキングでは、井岡はフライ級の全選手の中で1位にランクされている(注:リングマガジンは1位の上に王者を置いており、王座は現在空位)。こんなランキングからも明らかなように、スキル、試合運びの巧みさに一定以上の評価はされている。

 井岡がフライ級で迎える4人目の挑戦者は、完全に無名の18歳の暫定王者。この試合で問われるのは、単に勝利だけでなく、勝ち方である。経験の面で大きく差をつける新鋭に対し、格の違いを見せつけるような横綱相撲ができるかどうか。海の向こうのファンもネット上で映像を探し求めるような、鮮烈なフィニッシュを披露できるかどうか。

 欧米では関心の薄い軽量級で注目を集めるためには、例えば井上のように、迫力のある勝ち方が求められてくる。これまで以上にメリハリのあるボクシングができれば、井岡の世界的な評価もさらに上がるはずである。(文・杉浦大介)