再びネットカフェでパチスロ三昧の生活を送るが、やはり数カ月で金はそこをつき、「親に合わせる顔がない。生きていても仕方ない」と、男性はまたも自殺を試みる。今度は弟になんとか説得され、再び実家に戻り、男性は「今度こそ」と心を入れ替え、アルバイトを始める。給料の管理は母親に任せ、体を動かす趣味も始めたことで、徐々に男性の頭からギャンブルのことは抜けていったという。

 現在は一般企業に就職、社会復帰を遂げ、体を動かす趣味も続けているという。しかし、ギャンブル依存症について改めて尋ねると「回復はかなり難しいと思います。私の場合は、実家の周囲が繁華街などのない田舎だったこと、そして何より家族の協力があったおかげで、何とか回復することができたのだと思います」と話す。カジノ法案については「自分の場合はパチスロだったので、カジノがギャンブル依存症に直結するかは正直わからないのですが……ただ、現在いる依存症患者への対策は必要なんじゃないかとは思います。カジノ法案をきっかけに、それに目を向けてもらえたらいいのかなと思う」と自身の思いを語った。

 厚生労働省の調査によると、ギャンブル依存の疑いのある人は国内で536万人いると推定されている。そうした中で審議されるIR実施法案では、依存症対策を十分に考慮する必要がある。また男性の言うように、今回の法案をきっかけに、既存のギャンブル依存症の問題にも改めて目を向けていく必要があるだろう。(ライター・横田 泉)