海外トップリーグでプレーする日本人センターバックは吉田麻也(写真左)のみ。(写真:Getty Images)
海外トップリーグでプレーする日本人センターバックは吉田麻也(写真左)のみ。(写真:Getty Images)

 プレミアリーグで優勝したレスターの岡崎慎司は、世界的FWとして脚光を浴びる。ブンデスリーガ、フランクフルトのMF長谷部誠も、ドイツで日本人選手の道を切り開いた。チャンピオンズリーグで上位に進出したサイドバックの内田篤人(シャルケ)、長友佑都(インテル)は大きな足跡を記している。攻撃的MFの本田圭佑(ミラン)、香川真司(ドルトムント)も今シーズンは燻っているが、「日本サッカー」の看板を背負い、清武弘嗣は世界最高峰リーガエスパニョーラのセビージャで果敢に挑戦を続ける。

 では、なぜ世界レベルの日本人センターバック(以下、CB)は生まれないのか? 海外トップリーグでプレーするCBは吉田麻也(サウサンプトン)ただ一人。彼も現状はカップ戦要員に甘んじている。

 日本人CBの平均点は決して低くない。高さ、強さ、巧さ、状況を判断する力……。どれも素養は海外の有力選手に劣っていない。ポテンシャルだけを考えれば、例えば森重真人(FC東京)はチャンピオンズリーグに出場する選手と比べても遜色はないだろう。

 しかし、試合経験から導き出される「戦闘力」が違いすぎる。

 十代から二十代前半で、欧州や南米の選手はすでにトップクラスのFWとの戦いを経験している。それも、日本のように組織で守る(例えばチャレンジ&カバー、数的優位)という形ではなく、一対一で止めきらなければならない。ズラタン・イブラヒモビッチ(マンチェスターU)、ルイス・スアレス(バルセロナ)、カルロス・テベス(ボカ・ジュニアーズ)のような手合いと、毎試合、取っ組み合いを繰り返しているのだ。

「ディフェンダーは失敗を重ねることで成長する」。それは一つの掟として言われるが、日本では組織で守ることの弊害か、ミスが曖昧になりやすい。「ドンマイ」、そんな文化も根強くある。Jリーグで3バックが多くなるのも、CBの物足りなさを補完する傾向で、それも成長の邪魔になっている。

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