コーエーテクモゲームス常務執行役員 シブサワ・コウブランドブランド長 藤重和博
コーエーテクモゲームス常務執行役員 シブサワ・コウブランドブランド長 藤重和博
執行役員 シブサワ・コウブランド副ブランド長 『信長の野望 On line』『信長の野望 201X』プロデューサー 竹田智一
執行役員 シブサワ・コウブランド副ブランド長 『信長の野望 On line』『信長の野望 201X』プロデューサー 竹田智一

 大河ドラマ「真田丸」が、絶好調のまま最終回を終えた。登場人物が亡くなるたびに「◯◯ロス」と悲痛の声が聞かれ、特に真田昌幸の最期が描かれた第38話後は「昌幸ロス」がネットを席巻した。しかし、今回はそれを上回る「真田丸」ロス、この真田熱をどこに持っていけばいいのか。

 ドラマに呼応するように「真田」を盛り上げてきたのが、「真田丸」への技術提供でも話題になったコーエーテクモゲームスだ。『信長の野望』などで歴史ゲームというジャンルを築きあげた同社の「シブサワ・コウ」ブランドは、今年35周年を迎えている。ブランドを率いるプロデューサーの藤重和博氏と竹田智一氏に話を聞いた。

――大河ドラマ「真田丸」では、戦況説明シーンがまるで『信長の野望』そのままだと話題になりました

藤重:「真田丸」には、『信長の野望・創造』シリーズにて使用したフル3DCGマップで技術提供させてもらいました。クレジットに「シブサワ・コウ」と出たのを見て、うわー大河に出たーと、不思議な感じがしました(笑)。先日発売となった、真田幸村の生涯を描くゲーム『戦国無双 ~真田丸~』では、「真田丸」に出てくる赤備えの甲冑にコスチュームを変更できます。大河ドラマに限らず、こうしたユーザーに喜んでもらえる展開は今後も継続したいと考えています。

――今年は真田ブームが起きましたが、真田家の魅力とは

藤重:「信長が本能寺で死ななかったらどうなっていたんだろう?」という歴史ifを体験できるのが『信長の野望』なんですが、同じように「真田幸村が夏の陣であとひと槍届いていたらどうなっていたんだろう?」という興味があります。敵陣をかき分けて最後にあそこまで行ったというのは、男のロマンというか、単純にわくわくしますね。家康が撤退した数少ない戦いの一つなので、私の中では武田信玄と同格という感覚です。

竹田:自分は真田昌幸ですね。知謀の限りを使って、相手の裏をかくというのがすごい。表の顔はうまく使いながらも、強いものに絶対に媚びない。怖れずに立ち向かっていく。そうした独立を保つ気骨というか、真田魂がすごく好きです。幸村の最期にも、それが受け継がれていると思います。

――35周年を記念したキャンペーンの中には、池波正太郎の『真田太平記』を漫画化した雑誌とコミックスとのコラボレーションも

藤重:『信長の野望Online』は今年、「真田」をテーマに拡張してきました。大河ドラマで最高潮に盛り上がっている今、いよいよ大阪の陣とその先を描いていきます。漫画とのコラボも、それを盛り上げるものです。『真田太平記』は、いわずもがな昨今の“真田人気”の礎を築いた作品だと思います。今回コラボする『信長の野望 Online』と『信長の野望 201X』も“戦国のif”を体験できるゲームです。漫画を読んでいる多くの戦国ファンにとっても、楽しめる展開になっていると思います。

竹田:現代に降り立った戦国武将が、現代人とともに兵器を駆使して幽魔と闘う『信長の野望201X』では、コラボイベントを配信します。『真田太平記』に出てくる「お江」も、限定武将として登場しますよ。『信長の野望Online』でも『真田太平記』のオリジナルアイテムや、雑誌とコミックスに掲載しているキーワードを入力することでもらえるレアアイテムを用意するなど、さまざまなコラボがゲームの世界に厚みを与えています。

――35年歴史ゲームを作ってきた中で、どのような変化がありましたか?

藤重:昔は自分の主観でゲームや小説を楽しんでいたんですが、作る側になると一方的な見方はできない。より多角的に、一人の武将や時代を見るようになりました。特に石田三成なんかは、15年くらい前と比べるとユーザーの印象が一番変わっています。

竹田:歴史は勝者が作ると言いますが、敗者側の歴史にスポットが当たって「実は……」というのも最近多いですね。歴史に興味を持つ年齢層も広がったし、女性が増えているのも大きな変化で、当社のゲーム『戦国無双』でイベントを開催すると、その参加者の8割以上が女性です。

藤重: 1981年に『川中島の合戦』を作ったのは、大人が頭を使って遊べるゲームがないと感じたシブサワ・コウが、歴史の戦術を考えて遊ぶゲームがあればと思い立ったのがきっかけでした。私たちが何より大切にしていることは、最高の歴史ゲームを提供するということ。ユーザーに「遊んでよかった」「最高のゲームに出合えた」という体験をしてもらうことに連綿とこだわってきました。時代の変革者であった信長のように、今後も技術面はもちろん舞台設定なども挑戦し続けていきます。