■日本発・世界一のイノベーションファームへ

 TVSの立ち上げから6年、斎藤が動き出して10年近く。社内で「変人」と見られていたつらい時期もあったが、会社は成長を遂げている。ベンチャーに向けた販路やメディア戦略、資金調達などの支援のみならず、大企業や自治体などにもアプローチし新規事業創出支援を行ってきた。

 13年1月にスタートした「モーニングピッチ」は週に一度、ベンチャーが大企業や投資家に向けて事業プランを売り込む場だが、すでに700社以上のベンチャー起業が登壇。今や「起業家の登竜門」と呼ばれるほどの日本有数のプラットフォームになった。さらにそれを進化させた「出張モーニングピッチ」では、ベンチャーが大企業の役員たちを前に直接プレゼンする。これで提携話がトップダウンで即決するケースが出てきた。

 次の課題は?

 そう斎藤に問うと、「優秀な人材をどれほどTVSに入れることができるか」と答えた。

「イメージで言えば、イノベーションのタレント事務所。ミッション志向の異能集団を目指しています。『挑戦する人たちと共に未来をつくる』というのが僕らのコンセプトですが、そこに賛同した人たちがベンチャーをどんどん伸ばしてグローバルに展開していく。日本人200人、外国人20人のタレント集団が20人ずつくらいのチームをつくってグローバルに展開すれば、世界一のイノベーションファームになっていくと思っています」

(取材・文/坂口さゆり)

※『イノベーションファームって、なんだ?!』より