しかし、物事が一極に集まれば対極を生むように、少ない4回転でもエンタテイメント性に特化した男子選手も魅力を放っている。4回転1本で今大会に臨み、ダンスで攻めたアダム・リッポン(27、アメリカ)、同様にフィギュアスケートの踊りを進化させているジェイソン・ブラウン(21、アメリカ)、現役トップ選手ながら上位陣の振付師でもあるミーシャ・ジー(25、ウズベキスタン)、勝負の中で生きる彼らショーマンの存在は男子シングルに彩りを添えている。

 女子は、昨季世界選手権に続いて今大会も自己ベストが連発し、歴史的好試合となった。ソチ五輪もそうであったように、女子は大一番でドラマチックな展開を魅せる。女子上位陣はジャンプ構成で差がつかず、世界女王エフゲニア・メドベデワ(17、ロシア)を筆頭に、自己のキャラクターを確立させた上で、ジャンプ、スピン、ステップ、全ての技で満点を目指す勝負になってきた。至高を極めるメドベデワの総合得点が今大会で世界記録まで0.9点と迫ったなか、宮原も離されず、女子史上4位の得点をマークした。この先も頂上決戦が続いていく。

 五輪にも世界選手権にも一国の出場選手枠は「3」しかなく、女子の3枠を巡る国内の争いはロシアも日本も激しさを増すばかりだ。メドベデワをしのぐ演技構成点を誇るソチ五輪銅メダルのカロリーナ・コストナー(29、イタリア)の復帰、アメリカ、カナダの北米勢、そして新時代の技術を持つジュニアも相まって、勝負と演舞のステージを盛り上げる。平昌五輪までの一戦一戦、女子シングルに魅了されることになるだろう。(文=Pigeon Post ピジョンポスト 島津愛子)