同じく、優勝の味をファンともう一度噛みしめたのが、広島(3万8000人)だ。イベント開始前から球場には前夜組も含めた長蛇の列が出来上がり、一時は入場規制が行われるほどの盛況ぶり。新井貴浩と鈴木誠也のトークショーが爆笑に包まれた後、来季のチームスローガン『カ舞吼!−Kabuku−』も発表され、集まった鯉党を前にリーグ連覇&日本一を誓った。

 DeNA(4万1000人)も近年はファンサービスに力を入れており、その努力が実って今年は球団最多の来場者を集めた。その他、巨人(4万317人)、ソフトバンク(3万6173人)、阪神(3万5000人)と人気球団が続き、成績が低迷する中日(2万9000人)、オリックス(2万2141人)、楽天(2万616人)はファン感謝デーの来場者数でも苦しんだ。ただ、その中でも各球団は趣向をこらし、選手による様々な“かくし芸”が披露された。ロッテ(2万4000人)では、ドラフト1位の平沢大河が“神スイング”の稲村亜美と真剣勝負を実施するなど、ゲストを招いたイベントも好評だった。

 プレイ中とは異なる、選手たちの素の表情を見ることができる「ファン感」――。今年の来場者を見て分かることは、ひと昔前までの巨人中心、あるいは虎党一色ではなく、ファンが各チームに分散してきたということ。球団の工夫と努力を知る中で、改めて“会いに行ける”ことの価値を確かめる機会になったはずだ。