地球からの距離では、エウロパはエンケラドスよりもずっと近いため、探査機を送り込みやすい。また、エンケラドスは直径が約500キロメートルだから、約6倍のエウロパは内部の海も広く、その分、海が存在してきた時間も長そうだと考えられる。エウロパにもエンケラドスのような海があるなら、生命を発見できるチャンスはより高いといえそうだ。

(※1) 熱水噴出孔=海底下の地熱で熱せられた熱水が噴き出す割れ目。熱水の温度は400度に達することもあり、金属や硫化水素を含む。地球最初の生命が誕生した場所の有力候補と考えられている。

■NASAやヨーロッパ宇宙機関(ESA)がエウロパの探査を計画

 NASAは2020年代に「エウロパ・クリッパー」という探査機を、エウロパに送り込む計画を持っている。探査機がエウロパから噴き出す水をサンプルとして採取できれば、氷の地表を掘らなくても、内部の海の様子や生命の存在などを確かめることができるだろうとNASAはいっている。

 木星には、エウロパ以外にも内部に海があると考えられている衛星がある。ガニメデ(直径約5260キロメートル)とカリスト(直径約4820キロメートル)だ。ESAは、いま木星の探査計画を進めている。探査機は22年に打ち上げられ、30年に木星に到着したあと、ガニメデ、エウロパ、カリストを詳しく調査する予定だという。

 これらの計画が順調に進めば、30年代の前半までに生命の存在を含め、これらの衛星の様子が詳しくわかるかもしれない。

<気になる宇宙ニュース>
「すばる望遠鏡」で未知の「第9惑星」を探す!

 太陽系には、八つの惑星の外側にも未知の惑星があるのでは?という疑問が常にあった。近年、海王星の外側にいくつも小天体が発見され、未発見の大きな天体(惑星)がそれらの軌道を乱している可能性があることがわかった。その惑星は、直径は地球の2~4倍、1万~2万年かけて太陽のまわりを回っているらしい。

 9月下旬から、日本の国立天文台やアメリカの天文学者らのチームが、ハワイ島にある「すばる望遠鏡」(※2)を使って、「第9惑星」を探すチャレンジを始めた。1年ほどで発見を目指したいということだ。

(※2)すばる望遠鏡=日本が世界に性能を誇る天体観測用望遠鏡。光を集める鏡の直径は約8メートル。標高4200メートルのアメリカのハワイ島マウナケア山頂にある。

(協力/国立天文台・国際連携室・専門研究職員 吉田二美、文/上浪春海)

※月刊ジュニアエラ 2016年12月号より

ジュニアエラ 2016年 12 月号 [雑誌]

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AERA dot.編集部
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