保存療法は痛みやしびれなどの症状をやわらげるための治療で、病気が治るわけではありません。狭くなった脊柱管を広げて神経の圧迫を取り除く手術をすれば、症状が改善することが多いのですが、手術によるしびれの増加、筋力の低下、感染など合併症のリスクを伴うことも理解しておく必要があります。

 手術をするかどうかは、生活や仕事などによって異なります。例えば、「立ち仕事をしていて毎日5時間の仕事が痛みのため続けられない。でも仕事はやめられない」という人は、手術することで痛みが解消され、仕事に復帰できる可能性があります。一方、「どこに行くにも車。買い物も、5分あれば事足りるから長く歩くことはほとんどない」という場合は、痛くなったときに腰をかがめる、痛み止めの薬を飲むなどの対応で手術をしない選択もあります。

 腰部脊柱管狭窄症の手術は、がんや心臓病など「手術をしなければ生命が危険」というものではありません。リスクのある手術はしたくないという人は、生活上困らなければ、しない選択もあっていいと考えます。「痛みを改善して何をしたいのか」を考え、最善と思える治療法を選択しましょう。

※週刊朝日MOOK「痛い!首腰ひざのいい病院2017」より抜粋