10日のメキシコ戦、山崎康晃に降板を告げる小久保裕紀監督(右)(写真提供:Getty Images)
10日のメキシコ戦、山崎康晃に降板を告げる小久保裕紀監督(右)(写真提供:Getty Images)

 来年3月に開幕する第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向け、侍ジャパンがメキシコ、オランダ両代表と2試合ずつ強化試合を行った。この4試合を通し、浮き彫りになった課題を整理する。

 小久保裕紀監督が就任した2013年秋以降、日本代表の1試合最多失点は6だった。ところが、初戦となった10日のメキシコ戦では2番手で登板した千賀滉大(ソフトバンク)が3回3失点、山崎康晃(DeNA)が3分の1回で3失点と、ともにフォークボールを武器とする2人が炎上。3-7で敗れ、失点のワースト記録を更新した。その後も4→8→10と大量失点が続き、投手陣は大いに不安を残す結果となった。また、確固としたクローザーも見当たらなかった。

 15年の第1回プレミア12の悪夢がよみがえる。準決勝の韓国戦。先発・大谷翔平日本ハム)が7回1安打無失点。11奪三振と絶好調だったが、3-0の8回から、公式戦では先発の則本昂大(楽天)へ継投。則本は9回に3連打と死球で降板すると、無死満塁で登場した松井裕樹(楽天)は押し出し四球。さらに交代した増井浩俊(日本ハム)が李大浩(当時ソフトバンク)に逆転2点適時打を浴びた。3投手をつぎ込みながら残り1イニングで3点リードを守れず、初代王者を逃した。

 このプレミア12で、リリーフ経験豊富な投手を多く招集する必要性が指摘された。ましてや、WBCは過去3大会で球数制限が導入されている。イニング途中からの投入にも動じない、セットアッパー経験を持つ投手はさらに貴重になる。そこで今回、左の宮西尚生(日本ハム)、岡田俊哉(中日)や右の秋吉亮(ヤクルト)がメンバー入りした。だが、王座を奪還するためには、ドジャースタジアムで行われる準決勝、決勝を見越し、米国での経験豊富な上原浩治、田澤純一らの招集を期待したい。

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