「何人かはこのチャンスを生かしたし、何人かはこのチャンスを生かせなかった。多くの情報を得た試合だった。サウジアラビア戦はもっともっと難しくなるだろう」とハリルホジッチ監督。ただ、“仮想サウジ”として期待されたオマーンは来日メンバーの中でも国際経験の少ない若手が多く起用され、パフォーマンスは物足りなかった。

 システムも通常の4-4-1-1ではなく5-4-1という守備的な形で、カウンターもロングボールから前線がドリブルを仕掛けるぐらい。ビルドアップの精度も低かった。局面の“デュエル”で何度か日本のディフェンスを脅かしたものの、チームとしての強度に欠けた。サウジアラビアを率いた経験を持つオマーンのフアン・ラモン・ロペス・カロ監督も「似通った哲学を持っているとは思いますが、サウジアラビアの方が完成されたチーム」と語ってはいたが、本来のオマーンと比較しても親善試合のモチベーションだった。

 日本も多くのテストをした中で完璧なゲーム運びができたわけではなかったが、それでも相手に苦しめられる試合ではなかった。そのためサウジアラビア戦に向け、気持ちを引き締めて臨む必要はある。オランダ人の名将ベルト・ファン・マルヴァイク監督により欧州スタイルを身に付けたサウジアラビアは日本と同じ4-2-3-1を基本システムとする。サイドを起点としながら局面では個人でドリブルを仕掛けてくる。

 サウジアラビアに関して吉田は「オランダ人の監督で、なるべくボールを保持しようという姿勢は見られるけど、クオリティがそこまで高いとは思わないですし、しっかりやれれば能力的には日本の方が上だと思う」と語る。全体的にオーガナイズされてはいるが、ところどころ甘さが見られ、正確性を欠くシーンも多いのは確かだ。サウジアラビアがあらかじめカウンター狙いで来なかったとしても、攻撃時間は日本の方が長くなるだろう。

「つなごうとするんですけど、最終的にはロングボールが多いかなと思いますね。監督も言っていますけどファウルは本当に気をつけないといけないですし、あとはセットプレー。細かいこと、守備に関しては細かい点を求められるので、90分を通してしっかりこなしていかないといけない」

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