では、今年のスーパームーンは昨年や一昨年に比べて、どれくらい大きく見えるのか。残念なことに、見かけの大きさはほとんど変わらず、差は1%以下なのだという。国立天文台の広報担当者は語る。

「そもそも満月の大きさの違いを実感するのはなかなか難しいのです。今年11月14日の満月は35万6520.2㎞まで接近しますが、この距離は『地心距離』と呼ばれ、地球の中心から月の中心までの距離を指します。私たちは地球の表面から月を見ているため、月が地平線にあるときと天頂にあるときでは、私たちと月の距離は大きく変わります。地平線にあるときは地心距離とほぼ同じですが、天頂にあるときは地球の半径(約6400㎞)分、私たちは月に近い。つまり天頂にあるときに月はもっとも大きく見えるはずなのです」

 しかし、地平線付近の月の方が大きいと感じたことはないだろうか。担当者によると、これは目の錯覚によるものとのことだが、私たちは約6400㎞も月に近づいても、その大きさの変化を正確に把握できないのだ。

「今年11月14日の満月は、68年前のものより約30km遠く、昨年や一昨年のものより約500km近い。しかし、約6400㎞という地球の半径のサイズを考えれば、ほとんど気付かないような差なのです。つまり『数十年ぶり』という表現は、事実ではありますが、いわば言葉遊びのようなもので、ほとんど意味がないといえます」(前出の国立天文台の広報担当者)

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