2ゴールを奪う活躍を見せた大迫勇也が、一躍レギュラー候補に名乗りを上げた(撮影・六川則夫)
2ゴールを奪う活躍を見せた大迫勇也が、一躍レギュラー候補に名乗りを上げた(撮影・六川則夫)

 オマーン代表を迎えての国際親善試合が11月11日にカシマスタジアムで行われ、日本代表はFW大迫勇也(ケルン)の2ゴールなどで4-0と快勝。とはいえ対戦相手との実力差やモチベーションを考えると、細かなミスが散見され、後半途中から採用した2トップも機能したとは言い難い。4日後の15日に埼玉スタジアムで行われるW杯アジア最終予選の大一番、首位のサウジアラビア戦に向けて課題と収穫が相半ばした試合でもあった。

 テストマッチは所詮、テストマッチに過ぎない。オマーンは来年から始まるアジアカップ予選に向けてチーム作りをスタートさせたばかり。このため日本戦は「我々の実力を知るテスト」(ファン・ラモン・ロペス・カロ監督)という意味合いしかなかった。そんな相手に対し、立ち上がりの日本はささいなミスではあるが、パスが微妙にずれて攻撃のスピードを自ら遅らせていた。

 DF丸山祐市(FC東京)やMF永木亮太(鹿島)、FW齋藤学(横浜FM)、大迫といった代表経験の浅い選手や、久しぶりに代表へ復帰した選手がいたことも影響したのだろう。このためハリルホジッチ監督も、試合後の会見で開口一番、「勝ちはしたが、完璧に満足して、確信を得たわけではない。嬉しくないのはこれだけミスがあったこと。もっとしっかり試合をコントロールしないといけない」と厳しい言葉が口を衝いて出た。

 前半20分過ぎから日本のワンサイドゲームになり、32分にMF清武弘嗣(セビージャ)の左クロスから大迫が先制点を奪う。大迫は42分にも清武のスルーパスから追加点。この試合の収穫を挙げるとすれば、FW岡崎慎司(レスター)に代わる1トップの候補として大迫がゴールという結果でアピールしたことだ。それはハリルホジッチ監督も素直に認め、次のようなコメントを残した。

「(大迫の)クラブと今日の役割はまったく違う。合宿の最初から頭の中を切り替えてくれと言った。それはポジションの移動方法だ。180センチ以上でこういうプレーができる選手は少ない。このポジション(センターFW)に良い候補が見つかった。私の要求したポジションでプレーしてくれた。今のところ、彼はチームに多くのものをもたらしてくれる」

次のページ