交通量日本一の明石海峡 渋滞事故を防ぐ“仕事人”の手腕とは

南文枝dot.#仕事

1日約800隻の船が通り、“海の銀座”とも呼ばれ... (07:00)dot.

1日約800隻の船が通り、“海の銀座”とも呼ばれ... (07:00)dot.
 国土交通省による2015年の高速道路、年間渋滞ワーストランキング1位は東名高速道路上り線、海老名JCT~横浜町田IC間だが、海の上にも、船が混み合うルートがある。大阪湾と播磨灘をつなぐ明石海峡は、国内の主要海峡で最多の1日約800隻が通行する、“海の銀座”だ。

【写真】ここがレーダーやライブカメラを駆使して船に情報提供する中枢だ

 東西にわたって「へ」の字型をした幅1.5キロ、長さ7キロの航路を、タンカーやコンテナ船、フェリー、漁船など、大小さまざまな船が行きかう。西側には浅瀬もあり、これだけ多くの船が航行して、よくもまあ事故を起こさないものだ、と感心するが、その裏には、ある“仕事人”の努力があった。

 淡路島の北、海沿いの道から細い山道を上がると、海上保安庁の施設、大阪湾海上交通センター(兵庫県淡路市)に着く。ここで、明石海峡を通航する船の管制、つまり交通整理を行っているのだ。2016年10月29日、灯台の日(11月1日)に合わせて行われた一般公開を訪ねてみた。

 センターは標高236メートルの山の上に建つ。屋上にそびえるのは、レーダーや無線アンテナなどがついた「レーダー塔」。海面から塔の頂上までの高さは280メートル。明石海峡大橋の主塔(約300メートル)よりはやや低いが、屋上からは、大阪湾から播磨灘、瀬戸内海が見渡せる。

 東京湾や瀬戸内海など全国7カ所にある海上交通センターの1つで、1993年に開設された。高度経済成長によって明石海峡を通航する船が増え、船同士の衝突事故や浅瀬への乗り上げなどが多発したことが理由だという。

 センターの核となっているのが、3階にある航路管制室だ。ここでは職員が2交代、24時間体制で、屋上のレーダー塔や周辺に設置されたテレビカメラ、各船に搭載されたAIS(船舶自動識別装置。船の種類や位置、針路などのデータが受信できる) からの情報を元に、明石海峡や和歌山、高知沖といった周辺海域を航行する船を見守っている。

 具体的には、どうやって船の交通整理を行っているのだろうか。管制室には「レーダー運用卓」と呼ばれる3つの机があり、西側(播磨灘側)、東側(大阪湾側)、統括に分かれて職員が座る。明石海峡は、原則右側通行。職員はモニターなどで船の動きを確認し、航路を外れそうになっている船、他の船と接触、衝突しそうな位置にいる船などに、無線電話で連絡を取る。

 だが、これらは情報提供だ。担当者は「針路の選択はあくまでも船長の判断。私たちは判断材料を提供するだけだが、早めに情報を伝え、注意を呼びかけている」と話す。直接交信する以外には、インターネットや中短波ラジオ放送などで大型船の入港予定や通航している船、漁船の操業状況といった情報を提供している。

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