イチロー、大記録とともに限界説を払拭 一方で来季に悲観的な見方も…

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イチローがいた幸せ
杉浦大介著
978-4908117282
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 ベテラン健在を印象付けたシーズン――。イチローの2016年を振り返った時、そう形容してしまってもいいだろう。

 2015年は打率.229と低迷して限界説も囁かれたにも関わらず、今季は143試合で打率.291、1本塁打、10盗塁と好成績。現地時間4月29日(以下、現地時間)には通算500盗塁、6月15日には日米通算でピート・ローズを抜く通算4257安打を放つなど、華やかな記録ラッシュの1年でもあった。

 ハイライトはもちろん8月7日である。この日のロッキーズ戦の第4打席に右翼越えの三塁打を放ち、メジャー史上30人目の通算3000本安打を達成。デビューから16シーズン目での大記録到達はローズと並んで史上最速でもあった。

 達成直後、マイアミ・マーリンズのチームメートたちに称えられ、イチローもベンチで涙を拭っているように見えたシーンが話題になった。そんな姿に感動したのは日本のファンだけではない。稀代のヒットメーカーのマイルストーンは、MLBの今シーズンのハイライトの1つになったと言っていい。

「今季はディー・ゴードンが禁止薬物使用で出場停止になり、ジャンカルロ・スタントンも長期にわたる不振に悩まされた。マーリンズが過去に何度も経験してきた低迷シーズンになってもまったく不思議はなかった。そうならなかった理由の1つが、イチローの予想外の好調だった」

 今夏、筆者はイチローと対戦してきた選手たち、関係者の声を集めた「イチローがいた幸せ」という本を執筆したが、その中で、MLB.comのジョー・フリサロ記者はそう指摘していた。

 フリサロの言葉通り、所属するマーリンズも7月まで57勝48敗と大健闘。夏場過ぎまでプレーオフ争いに残ったチームに、前半戦でチーム最高の打率.335(規定打席不足) を残したイチローが大きく貢献したことは間違いない。とにかく“3000”に注目が集まったシーズンで、青息吐息でゴールに飛び込むのではなく、立派なチームの戦力として大記録を成し遂げたことには大きな意味があった。

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