メッシをストレスなくプレーさせることがアルゼンチンの利益になるはずだが、スターゆえの宿命か、引退騒動のあとも状況はあまり変わっていない。10月には、マウロ・イカルディを復帰させるべきだがメッシがそれを拒んでいると報じられ、エドガルド・バウザ監督が「チームから嫌われているせいで招集されない選手がいるという報道は誤り」とコメントするに至ったほどだ。

 また、チリの『El Mercuri』 紙は先ごろ、元アルゼンチン代表で母国の指揮もとったダニエル・パサレラが「私はメッシを素晴らしい選手だと思っているが、彼の性格、対応の仕方は内向きであり、臆病なところがある」「アルゼンチンには素晴らしいリーダーがいる。それはラミロ・フネス・モリだ。彼がキャプテンになるべきだ」と、メッシの性格がリーダーに向いていないと話している。

 9月の予選1試合に出場したのち、ケガのため3試合を欠場していたメッシだが、現在は復調し、6日に行なわれたリーガ・エスパニョーラのセビージャ戦でも1ゴールをマーク。5枚の守備陣をあっけなくかわしてシュートまで持ち込む圧巻のドリブルも披露した。

 W杯予選突破ではなく、W杯優勝が目標のはずのアルゼンチンにとって、このままメッシ頼みが続くことは避けたい。しかし、彼を失っている間に3位から5位に転落し、南米予選がいばらの道と化してしまったことは戦績が如実に物語っている。ネイマール擁するブラジルを相手に勝ち点を得るには、周囲が何と言おうと、やはり「主将メッシ」にすがるしかないだろう。