「彼らはそれぞれの形で犠牲を払わなければいけない。ボッシュの言葉を借りれば、犠牲を語ることはできても、実際に行うのは難しい。そして、彼らの失敗は多くの注視にさらされることにもなる」

 ESPN.comのシャーウッド・ストラウス記者がそう記していた通り、すべてがスムーズにいくわけではないはずだ。

 カリー、トンプソン、デュラントはそれぞれ実績あるスコアラーだが、ボールは一つだけ。これまで主に抜群の得点力でスターダムに躍り出た選手たちが、今後は仕事をシェアし、別の形で貢献する術を見つけなければいけない。

 それと同時に、ウォリアーズは他のすべてのライバルチームからターゲットとしてマークされるはず。一時的にでも不振に陥るか、不協和音でも生まれれば、メディアから派手な形で取り上げられてしまうだろう。注目度が高いことは、とてつもない重圧を背負い込むことも意味する。

 ただ……逆に言えば、そんな難しい要素もあるからこそ、今季のウォリアーズがどんな成果を残すかは興味深いのだ。

 ファイナル制覇以外の結果はすべて失敗———。重い十字架を背負い、2016-17シーズンのウォリアーズはスタートを切る。4大スターは包囲網を突破し、キャバリアーズ、サンアントニオ・スパーズといった強豪を倒し、“約束の地(=優勝)”にたどり着けるのか。デュラント、ウォリアーズの両方にとって、大きな話題を呼んだ移籍は本当に正しかったのか。

 スポーツファンはこのチームを見逃してはならない。現代のスーパーチームは、紛れもなく歴史的なタレント集団。今季の彼らの戦いは、今後、NBAにおいて永く語り継がれて行く可能性が十分にあるのだ。(文・杉浦大介)