広島・緒方監督(右)と握手する、広島ドラフト1位指名を受けた慶大の加藤(c)朝日新聞社
広島・緒方監督(右)と握手する、広島ドラフト1位指名を受けた慶大の加藤(c)朝日新聞社

 プロ野球の新人選手選択会議(ドラフト会議)が10月20日に都内で行われ、今年は87人が本指名を受けた。12球団のうち、最も的確な補強に成功したのはどこか。まずはセ・リーグ6球団のドラフトを採点した。

【広島】80点
1.加藤 拓也(慶大)投手
2.高橋 昂也(花咲徳栄高)投手
3.床田 寛樹(中部学院大)投手
4.坂倉 将吾(日大三高)捕手
5.アドゥワ 誠(松山聖陵高)投手
6.長井 良太(つくば秀英高)投手

 リーグ連覇へ向けて田中正義、佐々木千隼の獲得を目指したが、最終的に力投型右腕・加藤を外れ1位で指名し、2位では「高校BIG4」の一角である高橋の指名に成功した。加藤は1年目からリリーフでバリバリ投げることが期待でき、3位指名の床田はチームの弱点である左腕不足を埋める存在である。同じく左腕の高橋を2位で獲れたことは万々歳だ。また、名門・日大三高から直接プロ行きを決めた坂倉は将来の正捕手として期待したい。1位には即戦力投手、2位以下では大いなる可能性を秘めるアドヮワ、長井を含めて素材型の選手を多く指名。クジは外したが結果的には納得の行くドラフトになった。

巨人】65点
1.吉川 尚輝(中京学院大)内野手
2.畠 世周(近大)投手
3.谷岡 竜平(東芝)投手
4.池田 駿(ヤマハ)投手
5.高田 萌生(創志学園高)投手
6.大江 竜聖(二松学舎大付高)投手
7.リャオ・レンレイ(岡山共生高卒)投手

 重複を恐れずに田中正義を獲りにいった球団の姿勢は評価できる。だが、結果には恵まれず、最終的に吉川を外れ1位で指名した。守備センスあふれる吉川はスピードも抜群で、何よりプレーに華がある。是非とも1年目からレギュラー争いを演じてもらいたい。だがクジを外したこともあって、球界の盟主としてはやや物足りないドラフトだったことも事実だろう。ただその中で7位指名のリャオ・レンレイには注目。台湾出身だが日本の高校に3年間通ったために指名対象となった異例の選手で、身長201センチ、体重125キロの規格外の肉体を持つ。いつベールを脱ぐのか。今ドラフトで最も騒がれるのは、この男かもしれない。

【DeNA】85点
1.濱口 遥大(神奈川大)投手
2.水野 滉也(東海大北海道)投手
3.松尾 大河(秀岳館高)内野手
4.京山 将弥(近江高)投手
5.細川 成也(明秀日立高)投手兼外野手
6.尾仲 祐哉(広島経済大)投手
7.狩野 行寿(平成国際大)内野手
8.進藤 拓也(JR東日本)投手
9.佐野 恵太(明大)内野手

 1位のくじを2度外したが、それを感じさせない魅力的な面々を並べた。濱口はスケールの大きな左腕で、プロ入り後に成長する余地を残している意味でも楽しみな存在。水野は右サイドハンドから切れ味鋭いボールを投げ込む実戦派で、ともに1年目からの活躍が期待できる。その一方で、攻守ともに魅力のある松尾、細身で大化けの可能性のある京山、そして投打ともにスケールの大きい細川と、将来性豊かな高校生も指名。バランスよく、かつ積極的に9人を指名した。濱口、水野はともに新人王候補。今季球団初のCS進出を果たしたチームに、さらなる勢いを与えてもらいたい。その期待は非常に高い。

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