原口元気の3試合連続ゴールで先制したが、その後追いつかれ敵地でオーストラリアと引き分けた日本。(撮影・六川則夫)
原口元気の3試合連続ゴールで先制したが、その後追いつかれ敵地でオーストラリアと引き分けた日本。(撮影・六川則夫)

 2018ロシアW杯アジア地区最終予選の第4節が10月11日に行われ、敵地メルボルンでグループB首位のオーストラリアと対戦した日本は、開始早々の5分に原口元気のゴールで先制したものの、後半立ち上がりの53分に今度は原口がPKを与えてしまい、これをミレ・イェディナクに決められ1-1の引き分けに終わった。オーストラリアは2勝2分けの勝ち点8、日本は2勝1分け1敗の勝ち点7で、試合終了の時点では暫定2位に浮上した。

 日本が現地入りした翌日の8日、エースFWの岡崎慎司は全体練習に合流することなく、ピッチでトレーナーとマン・ツー・マンでストレッチを繰り返していた。翌9日はピッチに姿を現すことなく、ホテルのジムで調整。ピッチに戻ったのは10日の前日練習で、フルメニューをこなすと「今日、がっつりと練習した方がいいと思い、今日にかためました。80~90%(の状態で)できると思うし、スタメンで行けと言われたら行ける」と復活をアピールした。

 とはいえ丸2日間、ボールを蹴っていないため、スタメンは非現実的だ。かといって残るFW陣は代表経験の浅い浅野拓磨と小林悠しかいない。必然的に岡崎の代役は2012年10月のブラジル戦以来となる本田圭佑の“0 トップ”にならざるを得なかった。右MFに小林をスタメン起用したのは、俊足FWの浅野をジョーカーとして残しておきたかったからに他ならない。清武弘嗣に代わって香川真司をスタメンに送り出したのは意外だったが、疲労を考慮してのことだろう。ハリルホジッチ監督は今いるメンバーで“最適”の11人をピッチに送り出した。

 結果は、「勝てた試合」だったし、「負けなくて良かった」とも言える試合だった。まず前半は、オーストラリアの慢心に救われた。過去のオーストラリアは、パワーと高さを生かしたプレースタイルだったが、現在チームを率いるポステコグルー監督が就任してからは、パスをつなぐポゼッションスタイルへと変貌し、昨年のアジアカップでも優勝した。このため前半は日本陣内でFKを獲得してもすぐにパスをつないでプレーを再開するなど地上戦を展開。日本にとっては直接クロスを入れられ空中戦に持ち込まれる方が嫌だったはずだ。

 そして開始5分、高い位置で相手のパスミスを原口が拾い、長谷部誠、本田、原口とつないで先制点を奪う。アシストした本田が「ぶっつけ本番(の0トップ)で、あのパスを出せたのは正直ホッとしている」と自画自賛したプレーでもあった。このシーンに限らず、前半は「相手にわざとポゼッションさせて、点を取ることにした」(ハリルホジッチ監督)と相手のポゼッションスタイルを逆手に取っての攻撃が機能する。前半29分に本田が至近距離からのシュートを決めていれば理想的な展開だったし、75分の小林のヘッドが決まっていれば「勝てた試合」だった。

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