今回の最終予選でも、オーストラリアは2勝1分けの無敗でトップに立つ。相手をねじ伏せるような圧倒的な強さを見せつけるわけではないが、確実に勝ち点を積み重ねる手堅さはさすがだ。特に日本が敗れたUAEを相手に、アウェーへ乗り込みながら1-0で勝ち切るあたりに、今のオーストラリアの強さがよく表れている。

 日本とオーストラリアは、過去2回のW杯アジア最終予選でも同組となっているが、当時はお互いの直接対決に大きな意味はなかった。というのも、日本とオーストラリアが図抜けた2強状態にあったため、どちらにとっても引き分けで十分。最悪負けても、本大会出場への大きな障害とはならなかったからだ。実際、前回ブラジル大会の最終予選では、2戦2分けに終わっている。

 しかし、今回の対戦はまったく意味が異なる。日本の現状を考えると、負けが絶対に許されないのはもちろん、引き分けでさえ十分とは言えない。現在、W杯出場圏外のグループ4位に沈む日本にとって、オーストラリア戦は必勝の試合となる。

 ライバル撃破のカギを握るのは、4年前のロンドン五輪でベスト4に進出した世代(主に1989~92年生まれ)、いわゆる“ロンドン世代”の選手たちである。

 2010年W杯南アフリカ大会以来、日本代表は本田圭佑、岡崎慎司ら“北京世代”が長らくチームの中心を担ってきた。だが、彼らもすでに30歳前後となり、2年後の本大会を踏まえれば世代交代が急務。そんななか、イラク戦で劇的な勝利を手繰り寄せる活躍を見せたのが、清武弘嗣、原口元気、山口蛍らのロンドン世代だった。

 2018年のW杯本大会時点で27、28歳の円熟期を迎える彼らこそ、これからの日本代表を引っ張っていくべき存在。その意味では、ロンドン世代の力で日本を勝利に導いたイラク戦は、これまでの日本代表の流れを変える、エポックメイキングな試合となるかもしれない。というより、そうでなければならない。

 率直に言って、イラク戦は酷かった。内容的には見るべきものがなかった。にもかかわらず、日本は幸運にも勝利を手にすることができた。

 その勝利を、単なる勝ち点3以上の、本当に意味あるものにできるかどうかは、オーストラリア戦にかかっている。(文・浅田真樹)