最後に打たれたのは速球だが、事前に変化球でストライクを稼いでおけなかったことが伏線になった。そういった意味で、メジャー通算219勝、昨年度に殿堂入りを果たした名投手、マルチネスの指摘は的を射ていたのだろう。今季メジャー全体で4位となる221本塁打を放ったブルージェイズ打線は、打者有利のカウントから速球勝負するには危険すぎる相手だったということだ。

 2012年のワイルドカードではボルチモア・オリオールズ相手に敗戦投手(6回2/3、3失点で自責点2)になっていたダルビッシュにとって、この試合はプレーオフ初勝利を目指した重要なマウンドだった。レンジャーズはエースのコール・ハメルズを送り込んだ初戦で1−10と大敗を喫していただけに、第2戦はなおさら負けられないゲームだった。そんな“マストウィン・ゲーム”での敗北は、ダルビッシュ、そしてレンジャーズに重くのしかかる。

 頼みのハメルズ、ダルビッシュの2枚看板が合計8回1/3で11安打、12失点と激しく打ち込まれた後で、巻き返す力がレンジャーズに残っているかどうか。なお悪いことに、第3、4戦は敵地トロントでの開催。状況は厳しく、今回の不本意な登板が、ダルビッシュにとって今シーズン最後のマウンドになってしまう可能性も十分にありそうだ。(文・杉浦大介)