神奈川県座間市は、地震から身を守る「シェイクアウト訓練」の参加率が高いことで知られる。毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』読者の前嵩西時春くんが、大地震後に家で自活するための、体験型の訓練に参加した。そのポイントを紹介しよう。

しっかり結べて、ほどくのも簡単な「巻き結び」(撮影/小暮誠)
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しっかり結べて、ほどくのも簡単な「巻き結び」(撮影/小暮誠)
もぐる場所がないときは、体勢をできるだけ低くして頭をかばう(写真:ざま災害ボランティアネットワーク提供)
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もぐる場所がないときは、体勢をできるだけ低くして頭をかばう(写真:ざま災害ボランティアネットワーク提供)

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 シェイクアウト訓練は、地震発生時に身を守るために行う。事前に登録した参加者が、指定された日時に自分のいる場所でいっせいに行う。アメリカで始まり、日本全国でも約270万人(2016年)が参加している。訓練は1分で終わる。「まず姿勢を低く」「頭を守り」「揺れが収まるまで動かない」という動作をするだけ。小さな子には「だんご虫になろう」と言って教える。

 人は、落下してくるものが頭にぶつかっただけで死ぬことがある。死ななくても骨折や大やけどを負ったら、被災後の暮らしがよりつらいものになる。シェイクアウト訓練どおりの行動をとれば、ケガをする確率が確実に減らせる。家族と一緒にやってみよう。

 大地震が発生した直後、公的な助けはあてにできない。役所の人も被災するかもしれないし、被災状況の確認や避難所の開設などに追われているからだ。

 水道、ガス、電気が止まるなか、最低3日間、自力で生き延びる必要がある。近所の人との助け合いも大事だ。人間は「食う」「飲む」「出す(排せつ)」さえできれば生きられる。この三つに重点を置いた訓練の“知恵”を学びながら、自分なりのサバイバル法を考えてみよう。

【食う知恵】
 電気やガスが止まるので、カセットコンロなどで食事の支度をするようになるかもしれない。訓練では、特製ポリ袋に米と水を入れ、袋ごとゆでてご飯を炊く方法を教わったよ。お湯にレトルト食品を入れて、一緒に温めることもできるね。

【出す知恵】
 水道が止まると、水洗トイレは流れなくなる。大小便をポリ袋にためる方法を教わったよ。大きなポリ袋を2重にして便器にかぶせ、細く刻んだ新聞紙を入れて、水分を吸わせる。内側を黒い袋にすると中が見えない。猫砂を入れると脱臭効果があるそうだ。ためた袋は、可燃ごみとして出したら絶対にダメ。排せつ物の回収車が来るまで庭やベランダにまとめておくんだって。

【飲む知恵】
 断水したら、給水所や給水車から水をもらって、がれきが散乱するなかを運ばなければならない。水をラクに運ぶ方法などを体験したよ。また、バケツの中に清潔なポリ袋を入れれば、容器代わりになる。さらに、エコバックの手提げ部分に片方ずつ腕を通して両肩にかければ、重い水もラクに運べることも教わった。

■バケツリレーをラクにする方法
 1列に真っすぐ並んで手渡しするよりも、ジグザグに2列に並んで斜め前の人に手渡しするほうがずっとラクだとわかった。みんなで運んだ水で消火訓練をしたよ。

■車中泊しなくてすむ三角テント
 ブルーシート、棒、ロープ、ガムテープで作る「三角テント」の作り方も教わったよ。これがあれば車の中で寝ないですむと、各地の防災訓練で注目されているそうだよ。

※月刊ジュニアエラ 2016年10月号より

ジュニアエラ 2016年 10 月号 [雑誌]

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AERA dot.編集部
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