「子どもが快適な学校生活を送るためにも、きちんと『見える』ようにすることが大切。視力が低下したら、メガネは必ず1本持っておきましょう」と話すのは、東京・自由が丘にあるおおたけ眼科院長の工藤麻里先生。

 最近気になるのは、視力が低下する児童の低年齢化。メガネが必要な児童は1、2年生からチラホラ、3年生から急激に増えるようです。

「眼軸長が長くなることが近視の原因のひとつですが、成長期は身長などと共に眼軸も成長するので、近視も進みやすくなります。そのため、これ以上近視が進行しないようにすることも重要。眼科でも、近視の進行抑制効果がある『MCレンズ』を利用したメガネをすすめることもあります」

 ただ小学生でも、スポーツやバレエを頑張っているなどの理由で、メガネを嫌がる子もいるでしょう。小学生からコンタクトレンズを利用することはできるのでしょうか?

「目の角膜の内皮細胞は成長期が終わるまでに約3000個に育ちます。その際必要なのが、角膜の酸素交換。ソフトコンタクトレンズは角膜の酸素透過率が低く、酸素交換を妨げる懸念があります。一方ハードコンタクトレンズは酸素透過率は高いのですが、レンズが取れたり、割れたりする心配があり、レンズのケアも小学生には難しいかもしれません」

 コンタクトレンズは高校生位から使用するのがベター。ただ、中学生でもスポーツするときだけ、というように短時間の使用なら問題はありません。

 それでもメガネは嫌だという小学生には、「オルソケラトロジー」というものがあります。

 これは、就寝時に特殊なハードコンタクトレンズをつけることで視力を一時的に矯正するもの。日中は裸眼で過ごせるというのが最大のメリットです。視力が0.1の子でも、1.2くらいに上がるケースもあり、視力低下の進行を抑制する効果もあるといわれています。

 オルソケラトロジーの特徴を3つにまとめると、以下になります。

(1)成長期の子どもは近視が進みがちだが、その近視の進行を抑制する効果がある。

(2)コンタクトといえど、夜つけて、朝外すだけなので、親が家で管理でき、紛失や破損の心配が少ない。

(3)元の視力が回復するわけではないので、夜間コンタクトをつけて矯正しないと視力が戻ってしまう。

 また、オルソケラトロジーは、自由診療になるので、費用はさまざまです。

『AERA with Kids 秋号』では、そのほかに、目をリラックスさせる眼トレや、視覚機能を回復する食材なども紹介しています。親子で目の健康について考えてみてはいかがでしょうか?

AERA with Kids(アエラ ウィズ キッズ) 2016年 10 月号 [雑誌]

AERA with Kids(アエラ ウィズ キッズ) 2016年 10 月号 [雑誌]
著者 開く閉じる
AERA dot.編集部
AERA dot.編集部

1 2