他に野手では、8月14~18日に3度勝利打点を挙げた呉念庭内野手(西武)や、正捕手の嶋が故障したことで定位置をつかみ、61試合に先発出場した足立祐一捕手(楽天)も、ドラフト下位指名(呉は7位、足立は6位)ながら力を見せた。

 投手では加藤貴之(日本ハム)、多和田真三郎(西武)、関谷亮太(ロッテ)が、即戦力としての役目を果たした。加藤は7月下旬から先発ローテーション入りし、4連勝を含む7勝3敗。投手としての大谷が抜けた穴を高梨、増井とともに埋めた。大逆転優勝には欠かせなかった存在だ。多和田は終盤に5連勝するなど、7勝5敗。好不調の波が激しく、先発して5回未満の降板が6度あるが、15奪三振で1失点完投という試合もあった。いかに好調な期間を長く維持できるかが来季以降の鍵になるが、エース級になれる素材だということは証明した。関谷は16試合に先発し、5勝6敗、防御率5.52。先発数はチームで5番目に多く、5月に大嶺祐が不調で抜けたローテーションの穴を埋めた。ここまでが及第点組だ。

 チームの期待度の高さから鑑み、残念な結果に終わったのは、オリックスのドラフト2位、近藤大亮投手だ。開幕第2戦に先発したが、3回1失点(自責点0)で降板。右肩腱板(けんばん)炎と診断されると、その後は登板がなかった。早々に1軍から消えた近藤とは逆に、日本ハムのドラフト1位、上原健太投手は、制球が定まるまでに時間がかかり、チームの最終戦に1試合登板しただけに終わった。両者は社会人、大学出身でドラフト上位だけに、即戦力として活躍が求められていた。

 高卒ルーキーは伸びしろが大切だが、昨年の甲子園で活躍したオコエ瑠偉外野手(楽天)、平沢大河内野手(ロッテ)は1年目から1軍出場を果たした。オコエは本塁打に4盗塁、平沢は6試合連続安打をマーク。打率は両者ともに1割台だったが、将来像が予想できるような好スタートを切った。(文=日刊スポーツ・斎藤直樹)