今年の凱旋門賞はパリのロンシャン競馬場の改修工事に伴い、フランスのシャンティイ競馬場に会場を移して行われる。16頭立てとフルゲートに4頭足りないが、それでも騎手同士の鐙(あぶみ)がぶつかる激しい競馬になることに変わりはない。日本では許されていないが、有力馬を持つ陣営が露払い役のペースメーカーを出走させることも作戦として認められており、約2分30秒のレースの中に権謀術策が渦巻く。

 最後に瞬発力を爆発させてトップを切ってゴールに飛び込むのはポストポンドか、マカヒキか。あるいは英・愛の両ダービーを制したアイルランドの3歳馬ハーザンドか、それともまったくノーマークの穴馬なのか……。これまでのスポーツとしての観戦に馬券という大きな楽しみが加わって、競馬ファンには至福の夜になりそうだ。(文・奥野庸介/サラブレッドインフォメーションシステム)