「Bリーグに大物外国人はいるか」という質問を何度か受けたことがある。記者が「獲得しないのか」という質問をクラブの社長にしている場面も見たことがある。その答えをはっきり言うなら「NO」だ。

 一般人が知っているレベルのNBA選手を獲ろうとしたら、20億~30億円程度の年俸を用意しなければいけない。B1クラブの年間予算はせいぜい10億円。背伸びをすれば1億円、2億円の年俸は出せるかもしれないが、バスケ界にはそれくらいの年俸を出すリーグが世界中にある。

 バスケはサッカーに並ぶ世界的なスポーツ。北米だけでなくヨーロッパ、南米、アジアと全世界にプロリーグがある。そしてスポーツビジネスのマーケットは種目を越えて連動している。

 Jリーグが開幕した当時は、まずスポーツの市場が小さかった。日本が資金力で中国に負けることもなかった。しかし、サッカー界にはその後メディアマネーが流入。新興国からの投資も入り、事業規模が巨大化した。20年前なら1億円、2億円でワールドクラスの“レジェンド級”を獲得できたが、もちろん今では無理な相談だ。

 開幕戦ではアルバルク東京のディアンテ・ギャレットが来日から3週間ほどにもかかわらず、抜群のプレーを見せた。消えるようなステップ、意表を突くラストパスと、レベルの違いを示していた。彼は元NBAの選手で、フェニックス・サンズ、ユタ・ジャズで合計2季のキャリアを持つ27歳だ。ただその彼ですらNBAではずっと控えで、一度も先発できていない。限られた予算の中でも成長性、適応力を見極めれば「いい選手」を獲ることはできる。しかし“本場の超一流”を日本に呼べる時代でない。それは野球もサッカーも同様だろう。

次のページ