一方でBリーグには課題もあり、その筆頭が施設整備だ。サッカーは2002年のW杯日韓大会があり、スタジアム整備で辛うじて“世界基準”を追えている。対して、バスケを筆頭にした屋内競技は、エンターテイメントに対応する施設が皆無に近い。今季のBリーグが開催されるのは、大半が公共の体育館だ。集客を想定していない、大型ビジョンやLED照明といったハードの備わってない会場が多い。アリーナ問題は音楽業界でも悩みの種と聞く。その整備はBリーグに留まらない、エンターテイメント産業振興に欠かせないポイントだ。

 Bリーグの開幕を、Jリーグと比べて地味に感じた方もいるだろう。開幕戦の視聴率(フジテレビ/関東)は5.3%。1993年のJリーグ開幕戦は、32.4%という超高視聴率を記録している。若い世代には好評だったとも聞くし、人々のテレビ離れもあるのだろうが、バスケットボールがまだ社会の本当に深いところまでは届いていないことは事実。要は「ワイドショーのネタになる」段階にない。

 Bリーグは、Jリーグの初代チェアマンである川淵三郎氏が立ち上げに尽力しており、サッカー界をお手本にした部分も広範囲にある。ただ競技の違いは別にしても、23年前とは時代が違い、日本という国の立ち位置も変わった。

 この国ではスポ―ツエンターテイメントそのものがマイナー化している。五輪やサッカーW杯のような一過性の“お祭り”は別だが、今はスポーツが地上波のゴールデンタイムを帯で確保できていない。だからこそBリーグもインターネット中継に活路を見出している。メジャースポーツが“地上波でいつも中継している”水準を意味するなら、バスケがそこを目指すのは現実的でない。

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