「変化球のクオリティは本物であるだけに、その未来は明るいと思っている。カーブが“アウトピッチ”だが、実際には打者を打ち取れる変化球を複数備えている。スライダー、チェンジアップも上質で、標準以上の速球に上手く混ぜ合わせて使っている。本当に良い投手で、今後もそうあり続けることだろう。コマンドが好調の日は、メジャー最高クラスのひとりだ」

 大ベテランスカウトはダルビッシュの力を最大限に評価した上で、やはりコマンドを鍵として挙げていた。だとすれば、今後もその部分がバロメーターとなっていくのだろう。プレーオフの時期に向けて、制球を取り戻し、多彩な変化球をコーナーに決めて、ア・リーグの強豪たちをなで斬りにしていけるか。それともトミー・ジョン手術から復帰1年目の通例に倣い、今秋はやや波が激しくなってしまうのか。

 これから余程のことがない限り、ダルビッシュは10月7日のア・リーグ地区シリーズ第2戦で先発登板することになるはずだ。リーグを代表する強豪たちとの問答無用の勝負がそこから始まる。日本最高級の素材が支配的な姿を取り戻すべく、シーズン終盤の投球のクオリティ、制球力からも目が離せない。(文・杉浦大介)