その第1玉が、15年5月、大鳴門橋記念館に設置されたクレーンゲーム「たまねぎキャッチャー」だ。ゲーム機内には本物のタマネギがごろごろ積まれており、見事つかむことができれば景品としてタマネギ1袋(1.2~1.5キロ) がもらえる。1回100円。タマネギは1袋500円程度のため、4回以内にゲットできれば通常のお値段よりも得する計算だ。

 ゲーム機も独自に装飾したというタマネギ愛に満ちたキャンペーンはツイッターなどのSNSで広がり、話題となった。16年8月15日までのプレー回数は9万4397回で、成功率は12%程度だという。タマネギをそこまで必要としないのではと思われる学生や若者にも好評だ。筆者が訪れた日は雨にもかかわらず多くの人がプレーしており、大阪から訪れた20代のカップルは「思ったより難しいけど楽しい!」と仲良くクレーンを操作していた。

 たまねぎキャッチャーの人気を受け、7月からの第2玉では特注の「たまねぎカツラ」を作り、道の駅うずしお(南あわじ市)と大鳴門橋記念館で貸し出すこととした。さらに8月から、第3玉として道の駅うずしおでコーンの上に生のタマネギを載せた「アイス風・生たまねぎ」(税別100円) を販売。生でチャレンジするのもありだが、宮地さんによると、持ち帰って調理するのがお勧めだそうだ。

 そして16年3月には、第4玉として、大鳴門橋記念館に高さ2.8メートル、直径2.5メートル、重さ約250キロの巨大タマネギオブジェ「おっ玉葱」を設置した。バックには鳴門海峡が広がり、絶好の撮影スポットとなっている。ちなみに近くの看板には、傷つけた場合、「淡路島たまねぎ10年分必ず買っていただきます」との注意書きがある。

 また同社は、SNSでの拡散を狙い、施設のあちこちに「#おっ玉葱」などのハッシュタグを付けた広告を設置。見た目の面白さもあり、どんどん広まっている。

 これらの取り組みに共通するのは、徹底したタマネギ愛だ。宮地さんは「もうけようとは思っていない。淡路島のタマネギを有名にして、島のファンを増やしたい」と話す。たまねぎキャッチャーの近くにはスタッフを配置し、時には取りやすい場所にタマネギを置くサービスもする。「やっぱり取ってほしいし、持ち帰って配ったり、話題にしたりしてほしい」(宮地さん)

 台風10号の影響で、全国的に野菜が品薄となっているが、淡路島に来れば、タマネギはある。タマネギ推しのキャンペーンはいったいどこまで続くのか。タマ泣き美人コンテストの行方と共に注目したい。(ライター・南文枝)