戦後にできたもので珍しいものだと「アフリカ館」がある。これは1969年に完成したもので、ジャングルや古代遺跡などを再現したコースを、ジープに乗ってめぐる、1周5分程のライドアトラクション。エジプトの古代遺跡、ワニなどがいる沼地、ジャングルの猛獣などアフリカ大陸を再現していた。ディズニーランドの「ジャングルクルーズ」のジープ版といったところだろうか。ディズニーランドの開業は1983年だが、その10年以上前にとしまえんはこうしたアトラクションをつくっていたのだ。ちなみに、残念ながらこのアフリカ館は1988年に解体されている。

 園内はもちろん、世界的にも古いとされるアトラクションは、回転木馬「カルーセル エルドラド」。いわゆる「メリーゴーランド」だ。1907年にドイツでつくられたもので、その彫刻はすべて木製。歴史のある文化遺産として「機械遺産」にも認定された。その情緒ある雰囲気から、今ではドラマのロケ地としても使われている。

 ちなみに年間パスポートの販売などを行う「木馬の会事務所」は、もともとは1939年頃から「古城の喫茶」という食堂として営業していた建物。こうした古くからの建物が残っているから、としまえんにはどこか懐かしい雰囲気があるのかもしれない。

 もとは一個人が地域の人々のことを思ってつくり、地域の人に愛され、戦火のなかも生き残った「としまえん」。こうした歴史を知ったうえで見てみると、また違った楽しみ方ができるかもしれない。(文・横田 泉)