ドルトムントは同組のレアル・マドリーと首位争いになりそうだが、今夏にEURO優勝を果たしたポルトガル代表の骨格を作ったスポルティング・リスボン(ポルトガル)の底力には要注意。フンメルス放出の影響がどう出るか? 香川はドイツ代表マリオ・ゲッツェとの険しいポジション争いになる。

 セビージャはホルヘ・サンパオリ監督の高度なプレッシング戦術が浸透すれば、風雲を巻き起こすはずだが、今は道半ば。清武は「戦術の部品」として高い評価を受けている。ただ、勝利に導く決定的な仕事を果たせないと厳しくなる。

 他にパリSG(フランス)も伏兵だろう。ウナイ・エメリが新監督に就任し、相手を研究して試合中も巧みに布陣を変える用兵術が当たるか。ユヴェントス(イタリア)も負けにくいチーム。GKジャンルイジ・ブッフォンとアンドレア・バルザーリ、レオナルド・ボヌッチ、ジョルジョ・キエッリーニの3バックは鉄壁を誇る。移籍金9000万ユーロ(約108億円)で加入したゴンサロ・イグアインは金額に値するか。

 ここに記した以外でも、戦いの中で勢いを得るチームや選手も出てくるだろう。個人では左利きのプレーメーカー、グラニト・ジャカ(アーセナル/イングランド)、即興でプレーを生み出すリカルド・クアレスマ(ベジクタシュ/トルコ)、反撃を誓う守護神イケル・カシージャス(ポルト/ポルトガル)も気になるところ。一つ言えるのは、真の実力者が揃った究極の大会である、ということだろう。

 至高のフットボールの祭典が、いよいよ今年も幕を開ける。(文・小宮良之)