甲子園で力投する履正社の寺島 (c)朝日新聞社
甲子園で力投する履正社の寺島 (c)朝日新聞社

 1-0。台湾との白熱の決勝戦に勝利し、日本の2大会ぶり5度目の優勝で幕を閉じたU-18アジア選手権。チームを率いた小枝守監督は「選手が非常によく頑張ってくれた。満足です」と笑みを浮かべたが、大会全体を振り返ると、多くの問題点とともに今一つ盛り上がりを欠いたことも事実だった。

 確かに日本チーム自体は、非常にまとまった好チームだった。投手陣では、今夏の甲子園優勝投手である今井達也(作新学院高)が本調子ではなかったものの熱投を続け、寺島成輝(履正社高)、高橋昂也(花咲徳栄高)もしっかりと結果を残した。さらに必殺のスライダーを武器にリリーフとして計9回2/3イニングを投げて18奪三振を記録した堀瑞輝(広島新庄高)という発見もあった。

 野手陣では、大会前に「甲子園に出なかった選手たちを代表して頑張りたい」と語っていた鈴木将平(静岡高)が不動の3番として類まれな打撃センスを披露。また、九鬼隆平(秀岳館高)は「4番・捕手」としてチームをけん引し、林中勇輝(敦賀気比高)も持ち前の勝負強さを発揮した。その他、三遊間を組んだ佐藤勇基(中京大中京高)と松尾大河(秀岳館)、決勝戦でタイムリーを放った納大地(智辯学園)など、大会が進むにつれて各自がチームの勝利のために懸命にプレーし貢献する姿は、この年代特有の清々しさがあった。

 問題は、対戦相手にあった。予選、決勝と2度対戦した台湾は、地元開催で意気込みも強く、「台湾の大谷翔平」と評される“二刀流”チェン・フーを筆頭に、将来が楽しみなタレントもいて守備も堅かった。準決勝の宿敵・韓国戦は3-1の辛勝と一歩間違えれば負けていた可能性もあった。だがそれも日本を脅かすほどではなく、近年レベルが上がってきているはずの中国にはノーヒットノーラン・リレーで8-0の大勝と、まだまだ明らかな実力の差があった。

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