ドイツの移籍市場では、最後の最後にバイエルンも絡んだドタバタ劇が展開された。チームを大きく変えるつもりのないカルロ・アンチェロッティのもと、バイエルンは早々に補強を完了し、比較的静かな夏を過ごしていた。しかし30日にドイツの各メディアが、アーセナルFWセルジュ・ナブリー(21)について、バイエルンが契約解除金800万ユーロを支払って獲得と相次いで報道。ナブリーはまずバイエルンに加入し、ブレーメンに期限付き移籍する予定だという父親のコメントも伝えられた。

 ところがこれに憤ったのが、ブレーメンのフランク・バウマンSDで、すぐさま会見を開くと「そんな話は聞いていない」と主張。「アーセナルとの交渉を有力に進めていたのはわれわれだ。ナブリーとも個人合意に至っている。この移籍にバイエルンは一切関係ない」と訴えた。するとその後、ナブリーの父親が地元紙の電話インタビューに「そんなはずは……、バイエルンが本命と思っていた」と述べ、ここからメディアの情報も錯綜。ブレーメン加入で決まりと報じるところあり、解除金を肩代わりしたのはバイエルンであり、やはりバイエルン行きだと報じるところあり、アーセナルは契約延長の意向だと伝えるところあり、市場は混乱した。最終的にナブリーは2020年までの契約(契約解除金500万ユーロ+ボーナス)でブレーメン加入が決定。移籍窓口が閉まる前に決着したものの、五輪世代有数の逸材とされるナブリーが、開幕戦でバイエルンに0対6で敗れ、毎年残留争いをしているブレーメンになぜ……、との疑問はぬぐえない。

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