ハリルホジッチ監督は過去に、同じ川崎Fでゴールを量産していたFW大久保嘉人をなぜ呼ばないのかと聞かれた際は、「2年後に彼は何歳になっていますか?」と、年齢を理由にベテランを招集しなかったと述べ、チームの若返りを強調していた。しかし今回は、「W杯予選では緊急事態に備えたい。本大会に向けて若い選手を使いたいが、W杯の最終予選は重要な戦いだ」と位置付け、香川と清武がケガなどで離脱した際には「私が使いたい選手」と明言。予選突破のためにはなりふり構わぬ姿勢も見せた。

 そしてFWのメンバー発表では7人の選手の名前を読み上げた後で、「金崎はリストに入っていたが、代表候補の選手があのような態度を取ってはいけない。(こういった態度を取ると)A代表には入れないことを知るべきだ。彼の態度は気に入らないし、そのことを全選手に伝えたい」と、金崎夢生(鹿島)を招集リストから外したことを明かした。

 問題となった金崎の行動は、8月20日に行われたJリーグの湘南戦でのこと。先発出場した金崎だが、70分に途中交代を告げられると、石井監督との握手を拒否。一度はベンチに腰を掛けたものの、再び激高して監督の元に詰め寄った。これはスタッフが3人がかりで制したが、こうした行動をとれば、ハリルホジッチ監督ならずとも扱いづらい選手という印象を持つだろう。

 1日の対戦相手であるUAEとは過去15戦して5勝8分け2敗と勝ち越してこそいるが、8分けが示すように楽観視できる相手ではない。昨年のアジアカップで日本は準々決勝で対戦し、1-1からのPK戦で敗れた。ハリルホジッチ監督自身も「2カ月間の準備をしている」と警戒を強めている。1試合ごとの結果にファン・サポーターが一喜一憂するW杯のアジア最終予選。スリルに富んだロシアへの最終バトルの始まりだ。(文・六川亨)