こちらの部屋は他の「クールジャパンルーム」に先駆けて2015年4月に展開されたもの。しかしながらその人気は根強く、予約の時点では「忍者」の部屋が外国人にもっとも人気だが、実際にすべての部屋を見た後では多くの人がこの「痛カプ」を選ぶという。

 その理由は部屋に入ってみると分かる。部屋に入ると、まずはミラーボールのカラフルな照明に迎えられる。色とりどりの明かりが壁面や床に映り、これまでの部屋とは違った派手さがある。

 個室のシーツにはかわいらしいアニメ風の女の子が描かれており、その傍らには、これまた女の子が描かれた抱き枕が置かれている。シーツの柄や抱き枕は個室によって異なるので、空きがある場合は好きな女の子が描かれた部屋を選べるとのこと。

 ロッカーや壁面にはアニメ風の女の子のイラストが……。描かれているのは、カプセルホテルに隣接する「アニソンカフェ すた~ず@City」のオリジナルキャラクター。アニソンカフェとは、アニメソングや声優ソングなど、アニメ・サブカル系の曲に限定したカラオケカフェのこと。こちらもニューシティーを運営している株式会社シティコミュニケーションズが展開している。コスプレしたスタッフもいることから、外国人に人気だという。

 実はこのアニソンカフェの存在が、変わり種カプセルホテル展開のきっかけになったという。

「15年にアニソンカフェのキャラクターとコラボすることになり、この『アニメ』をコンセプトにした『痛カプ』をオープンしました。痛カプのオープンから1年ちょっとたちますが、外国人観光客の数は1%だったところから10%にまでアップしました。そんな折に、外国人観光客にカプセルホテルが人気ということを報道などでも知りまして、さらに多くの外国人の方に利用してもらいたいと思い、今年になって『戦国』『忍者』『花魁』の部屋をオープンさせることになりました」(藤井さん)

 初めに戦国の部屋を作ってから、スタッフの間で試行錯誤を重ね、外国人の喜ぶ世界観を作り上げてきたという。「忍者」の部屋をあえて派手にしたのも、外国の方がイメージする「NINJA」に近づけた方が、より喜んでもらえると考えたためだ。そうした工夫が奏功したようだ。

 外国人観光客を集めたい施設や商店などにとって、一風変わったカプセルホテルの“戦略”は参考になるかもしれない。(文・横田 泉)